子どもの将来のための教育費、いつから準備を始めたらよいのか悩んではいませんか。多くの家庭で選択に迷うのが、学資保険とNISAどちらを選ぶかという問題です。それぞれにメリット・デメリットがあり、家庭の状況によって最適な選択肢は変わってきます。
この記事では、教育費の基本知識から具体的な比較ポイントまで、わかりやすく解説していきます。
教育費の目安と準備方法を知る
教育費の準備を始める前に、まずはどのくらいの費用が必要なのか、そしてどんな準備方法があるのかを理解しておくことが大切です。将来への備えは早めに始めるほど負担が軽くなるもの。しっかりと基礎知識を身につけて、計画的に準備していきましょう。
教育費はどれくらい必要か
教育費の準備を考える際、まず気になるのが具体的な金額ですよね。文部科学省の調査によると、幼稚園から大学まで全て公立の場合でも約1000万円が必要とされています。一方、全て私立で理系に進学し、さらに下宿をする場合は約3,290万円にもなります。
特に注目すべきは、大学進学時の費用です。国立大学でも入学金や授業料で年間約80万円、私立大学では文系で約100万円、理系で約130万円程度が必要になります。さらに下宿費用を含めると、年間200万円以上かかるケースも珍しくありません。
家計に大きな負担をかけないためにも、できるだけ早い段階から計画的に準備を始めることが重要です。子どもが0歳の時から18歳まで毎月2万円ずつ積み立てれば、432万円になります。これだけでも国立大学4年間の学費をほぼカバーできる計算になりますね。
教育費を貯める主な手段
教育費の準備方法は実に様々です。昔ながらの預貯金から、最新の投資商品まで選択肢が豊富にあります。それぞれの特徴を理解して、自分の家庭に合った方法を選ぶことが大切です。
預貯金は最も身近で安全な方法ですが、現在の金利では資金を増やす効果はあまり期待できません。
一方、投資信託やNISAなどの運用商品は、上手に活用すれば資金を大きく増やせる可能性がありますが、元本が保証されていない点には注意が必要です。
学資保険は、貯蓄機能と保障機能を併せ持つ商品として支持を集めています。契約者である親に万が一のことがあった場合、以降の保険料支払いが免除される仕組みとなっており、高い安心感が得られるのが特徴です。さらに、生命保険料控除の対象にもなるため、税制上のメリットも見込めます。
最近では、複数の手段を組み合わせて教育資金を準備する家庭も増加傾向にあります。たとえば、基礎的な部分は学資保険で着実にカバーし、余裕資金はNISAで運用して資産形成を図るといった工夫が見られます。
準備方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
預貯金 | 元本保証、いつでも引き出し可能 | 金利が低い、資金が増えない |
学資保険 | 保障機能付き、生命保険料控除 | 利回りが低い、途中解約で元本割れリスク |
NISA | 運用益非課税、高い利回りが期待 | 元本保証なし、価格変動リスク |
投資信託 | 専門家による運用、分散投資 | 元本保証なし、手数料がかかる |
児童手当や家計の工夫も活用
教育費の準備を考える際、忘れてはいけないのが児童手当の活用です。児童手当を全額積み立てると、中学卒業までに約200万円が貯まります。これは教育費準備の強い味方になってくれます。
児童手当の支給額は、3歳未満が月額15,000円、3歳以上小学校修了前が月額10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生が月額10,000円となっています。15年間で総額198万円になる計算です。
家計の見直しも効果的な方法の一つです。月々1万円の節約でも、18年間続ければ216万円になります。例えば、携帯料金プランの見直し、保険の見直し、外食費の調整など、無理のない範囲での工夫が積み重なれば大きな効果を生みます。
また、ボーナスや臨時収入があった際に、一部を教育費の貯蓄に回すという方法もあります。普段の生活に影響を与えない範囲で、計画的に準備を進めていくことが大切です。
NISAと学資保険を5つの視点で徹底比較
教育費の準備において、NISAと学資保険は多くの家庭で検討される選択肢です。どちらも魅力的な特徴がありますが、家庭の状況や価値観によって最適な選択は変わってきます。ここでは5つの重要な視点から、両者を詳しく比較してみましょう。
利回りで比べる
教育費の準備において、どれだけお金を増やせるかという利回りは重要な要素です。NISAは運用次第で年率3~7%程度の利回りが期待できますが、一方で元本保証はありません。
NISAで投資信託を活用した場合、過去のデータを見ると長期的には年率4~6%程度のリターンが期待できるとされています。仮に毎月2万円を18年間、年率5%で運用できた場合、元本432万円に対して約668万円になる計算です。
一方、学資保険の返戻率は現在103~107%程度となっています。これは年利に換算すると0.2~0.4%程度の低い水準です。しかし、確実性という点では学資保険に軍配が上がります。
例えば、18年間で300万円の保険料を支払い、満期時に315万円受け取れる商品の場合、返戻率は105%となります。増えた15万円は確実に受け取ることができますが、物価上昇を考慮すると実質的な価値は目減りする可能性もあります。
リスクで比べる
投資や保険を選ぶ際、リスクの理解は欠かせません。NISAには価格変動リスクがあり、投資した元本が減少する可能性があります。特に短期的には大きく値下がりすることもあるため、心理的な負担を感じる場合もあるでしょう。
しかし、長期投資の観点から見ると、リスクは時間とともに軽減される傾向にあります。18年という長期間であれば、一時的な下落があっても回復する可能性が高いとされています。
学資保険は元本保証型の商品が多く、支払った保険料が満期時に確実に戻ってくる安心感があります。ただし、インフレリスクには注意が必要です。物価が上昇した場合、名目上は元本が保証されていても、実質的な価値は下がってしまいます。
また、学資保険には保険会社の経営破綻リスクもあります。ただし、生命保険契約者保護機構により、責任準備金の90%までは保護される仕組みがあるため、完全に資金を失うリスクは低いとされています。
保障機能で比べる
学資保険の大きな特徴の一つが保障機能です。契約者である親が亡くなった場合、以後の保険料支払いが免除され、満期時には予定通りの満期金が受け取れる「払込免除」機能があります。
この保障機能により、万が一の際でも子どもの教育費は確保されるという安心感があります。特に主たる家計の支え手に万が一のことがあった場合、教育費の準備が滞るリスクを回避できます。
一方、NISAには保障機能がありません。運用者に何かあった場合、積み立てを継続できなくなる可能性があります。ただし、NISA口座の資産は相続財産として引き継がれるため、完全に失われるわけではありません。
万が一の備えとして、学資保険の保障機能は魅力的ですが、その分保険料も高くなる傾向があります。既に生命保険に加入している場合は、保障内容の重複がないか確認することも大切です。
解約や引き出しやすさで比べる
教育費の準備中に、急にまとまったお金が必要になることもあります。そんな時の柔軟性について比較してみましょう。
NISAはいつでも資金の引き出しが可能です。急な出費や家計の変化に対応しやすく、資金の流動性が高いという特徴があります。ただし、市場が下落している時期に引き出すと、損失が確定してしまう可能性があります。
学資保険は途中解約が可能ですが、特に契約初期の解約では元本割れするケースがほとんどです。多くの学資保険では、契約から5~10年程度は解約返戻金が支払った保険料を下回る設計になっています。
例えば、契約5年目で解約した場合、支払った保険料120万円に対して解約返戻金が100万円程度になることも少なくありません。これは保険会社の事業費が前期に集中して計上されるためです。
そのため、学資保険は長期継続を前提とした商品と考えるべきでしょう。
税制優遇や柔軟性で比べる
税制面での優遇も重要な比較ポイントです。NISAは運用益が非課税という大きなメリットがあります。通常の投資では利益に対して20.315%の税金がかかりますが、NISA口座内での運用益は非課税となります。
また、積立額や引き出し時期の自由度も高く、家庭の状況に合わせて柔軟に調整できます。月々の積立額を変更したり、一時的に積立を停止したりすることも可能です。
学資保険は生命保険料控除の対象となり、年間の保険料に応じて所得税と住民税が軽減されます。年間保険料が8万円を超える場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の控除が受けられます。
ただし、学資保険は受取時期や金額が契約時に固定されるため、柔軟性に欠けるという面もあります。子どもの進路が変わった場合でも、受取時期を大きく変更することは困難です。
どちらが向いている?家庭別の選び方
NISAと学資保険、それぞれの特徴を理解したところで、実際にどちらを選ぶべきかを考えてみましょう。家庭の価値観や経済状況、リスク許容度によって最適な選択は変わります。自分の家庭にはどちらが向いているのか、具体的なケースを見ながら判断していきましょう。
NISAが向いているケース
長期運用ができ、ある程度のリスクを許容できる家庭にはNISAが適しています。18年という長期間で考えると、短期的な価格変動は平準化され、安定したリターンが期待できます。
共働きで世帯収入が安定している家庭や、すでに生命保険で万が一の保障を確保している家庭も、NISAを選択しやすい条件が揃っています。保障機能がなくても、他でカバーできているため問題ありません。
インフレ対策を重視したい場合もNISAが有効です。物価上昇に対応できる資産運用により、教育費の実質的な購買力を維持できる可能性が高まります。特に今後のインフレ懸念を考慮すると、この点は重要な判断材料となります。
効率的に資産を増やしたい場合や、投資に対して前向きな姿勢を持っている家庭にもNISAは向いています。運用に関する知識を身につけながら、資産形成を行うことで、教育費以外の将来設計にも活かせる経験が得られます。
また、資金の引き出し時期に柔軟性を求める家庭にもNISAが適しています。子どもの進路が変わった場合や、予想より早く資金が必要になった場合でも、臨機応変に対応できます。
学資保険が向いているケース
元本保証や親の万一への備えを重視したい家庭には、学資保険が適しています。NISAと違い、元本割れのリスクを避けることも可能です。
計画的に確実に教育資金を貯めたい場合も学資保険が向いています。毎月決まった金額が自動的に積み立てられ、満期時には確実に受け取れるため、貯蓄が苦手な人でも続けやすい仕組みになっています。
自営業者など収入が不安定な職業の場合、学資保険の保障機能は特に重要です。万が一の際の保険料払込免除により、子どもの教育費は確保されるため、安心して事業に専念できます。
保険料控除を活用したい場合も学資保険にメリットがあります。既に他の生命保険に加入していない場合や、控除枠を十分に活用できていない場合は、税制面での優遇効果が期待できます。
併用のメリットと判断基準
実際には、NISAと学資保険の両方を活用する併用パターンも多く見られます。学資保険で最低限の教育資金を確保し、NISAで上乗せを狙うという戦略です。
例えば、国立大学進学を想定した最低限の費用を学資保険で準備し、私立大学や下宿費用などの追加費用をNISAで準備するという方法があります。これにより、確実性と成長性の両方を確保できます。
併用する場合の判断基準として、まず家庭の月間貯蓄可能額を把握することが重要です。月3万円が貯蓄可能な場合、1.5万円を学資保険、1.5万円をNISAに振り分けるといった具合です。
リスク許容度も重要な判断材料です。教育費の半分程度までならリスクを取れるという場合は併用が適しています。一方、少しでも元本割れの可能性があるものは避けたいという場合は、学資保険に集中する方が良いでしょう。
チェックリストで自分に合う方法を確認
自分の家庭にはどの方法が適しているのか、以下のチェックリストで確認してみましょう。当てはまる項目が多い方が向いている可能性が高いです。
NISAが向いている場合のチェックポイントとして、運用リスクを理解し受け入れられる、18年以上の長期運用が可能、世帯収入が安定している、インフレ対策を重視したい、資金の引き出し時期に柔軟性を求める、投資や運用に興味がある、といった項目があります。
学資保険が向いている場合は、元本保証を重視したい、親の万一に備えたい、計画的な貯蓄が苦手、収入が不安定、保険料控除を活用したい、確実性を何より重視する、といった項目が挙げられます。
どちらにも当てはまる項目が多い場合は、併用を検討するのも良いでしょう。重要なのは、自分の価値観と家庭の状況に最も適した選択をすることです。
迷った場合は、保険の専門家に相談するのがおすすめです。保険ガーデンでは経験豊富なファイナンシャルプランナーが、家庭の状況に合わせた最適な教育費準備プランを無料でアドバイスしてくれます。客観的な視点から、学資保険とNISAの使い分けや併用方法について、具体的な提案を受けることができますよ。
よくある質問と回答
教育費の準備について、多くの方が抱く疑問や不安にお答えします。実際に準備を始める前に、気になるポイントをしっかりと解消しておきましょう。正しい知識を持つことで、より良い選択ができるようになります。
Q. 子どもが高校生になってから教育費準備を始めても間に合う?
高校生から教育費準備を始めるのは、正直なところかなり厳しい状況です。大学進学まで3年程度しかないため、月々の積立額が非常に高額になってしまいます。
例えば、私立大学4年間の費用400万円を3年間で準備しようとすると、月々約11万円の積立が必要になります。これは多くの家庭にとって現実的ではありません。
この場合は、奨学金制度の活用を積極的に検討しましょう。給付型奨学金であれば返済不要ですし、貸与型でも無利子のものもあります。また、大学独自の奨学金制度も充実してきています。
教育ローンという選択肢もあります。国の教育ローンなら固定金利で比較的低い利率で借りることができます。ただし、返済計画をしっかりと立てることが重要です。
Q. 兄弟姉妹がいる場合の教育費準備はどうすればよい?
兄弟姉妹がいる家庭では、教育費の準備がより複雑になります。一人当たりの準備期間が短くなったり、同時期に教育費が必要になったりする可能性があるためです。
年齢差が小さい場合は、同時期に大学に在学する可能性があります。この場合、年間の教育費負担が200~300万円になることもあるため、早めの準備と十分な資金確保が必要です。
効率的な方法として、まず上の子の学資保険を充実させ、下の子はNISAで準備するという使い分けも考えられます。また、兄弟それぞれに学資保険をかける場合は、保険料負担が重くならないよう注意が必要です。
児童手当を活用する場合も、兄弟の人数分受給できるため、全額を教育費準備に回せば相当な金額になります。第3子以降は支給額も増えるため、計画的に活用しましょう。
家計への負担を分散するため、教育費以外の支援制度も積極的に活用することが大切です。医療費助成や就学援助など、利用できる制度は最大限活用しましょう。
Q. 0歳の赤ちゃんがいる場合、何から始めればよい?
0歳から始められるのは、教育費準備の大きなメリットです。18年という長期間があるため、月々の負担を抑えながら十分な資金を準備することができます。
まずは複数社から資料請求を行い、学資保険の内容を比較検討することから始めましょう。返戻率、保障内容、保険料などを詳しく比較して、家庭に最適な商品を選択します。
同時に、NISAについても情報収集を行いましょう。証券会社各社の商品やサービスを比較し、初心者でも始めやすいものを選ぶことが重要です。
併用を検討する場合は、まず家計の状況を把握し、無理のない積立額を設定することが大切です。例えば、月3万円が貯蓄可能な場合、2万円を学資保険、1万円をNISAといった配分が考えられます。
Q. 共働き夫婦の場合、どちらの名義で準備すべき?
共働き夫婦の場合、教育費準備の名義選択は重要なポイントです。学資保険の場合は、より収入が安定している方を契約者にするのが一般的です。
契約者に万が一のことがあった場合の保険料払込免除を考慮すると、家計への影響が大きい方を契約者にすることで、より大きな保障効果が得られます。ただし、契約者の健康状態によっては加入できない場合もあるため、注意が必要です。
NISAの場合は、夫婦それぞれが口座を開設できるため、分散して積立を行うことも可能です。例えば、夫がつみたてNISA、妻が一般NISAを活用するといった使い分けもできます。
税制面を考慮すると、所得が高い方が学資保険の契約者になることで、生命保険料控除の効果を最大化できます。ただし、将来の収入変動も考慮して決定することが大切です。
Q. NISAや学資保険の専門用語が難しくて動き出せない
確かに金融商品には専門用語が多く、最初は戸惑うことも多いでしょう。しかし、基本的な用語を理解すれば、商品選択がずっと楽になります。
学資保険の「返戻率」は、支払った保険料に対してどれだけの金額が戻ってくるかを示す割合です。例えば、300万円支払って315万円受け取れる場合、返戻率は105%となります。
「払込免除」は、契約者である親に万が一のことがあった場合、以降の保険料支払いが免除される機能です。それでも満期時には予定通りの満期金が受け取れるため、大きな安心材料となります。
NISAの「運用益非課税」は、投資で得た利益に税金がかからないという意味です。通常の投資では利益に20.315%の税金がかかりますが、NISA口座内では非課税となります。
理解できないまま契約するのは避け、納得してから決断することが重要です。
まとめ
教育費の準備は、子どもの将来を左右する重要な取り組みです。学資保険とNISA、それぞれに特徴があり、家庭の状況や価値観によって最適な選択は変わります。
確実性を重視するなら学資保険、成長性を求めるならNISA、そして両方のメリットを活かすなら併用という選択肢があります。大切なのは、自分の家庭に合った方法を選ぶことです。
教育費の準備は長期戦です。途中で投げ出すことなく、継続していくためには無理のない計画を立てることが重要です。月々の積立額は家計に負担をかけない範囲で設定し、ボーナスなどの臨時収入も上手に活用していきましょう。
また、子どもの成長とともに教育方針や進路希望が変わることもあります。定期的に計画を見直し、必要に応じて調整していく柔軟性も大切です。
早めの準備開始が成功の鍵となります。時間を味方につけることで、月々の負担を軽減しながら十分な教育資金を準備することができます。まずは情報収集から始めて、自分なりの教育費準備計画を立ててみましょう。
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