妊娠中も体を動かしたい気持ち、すごくよく分かります。しかし、デクラインベンチプレスのような運動は、知らないうちに赤ちゃんやママの体に負担をかけてしまうことがあるんです。実は妊娠中の運動には、知っているようで知らない注意点がたくさん隠れています。
この記事では、なぜ特定の筋トレが危険なのか、そして代わりにどんな運動なら安心して続けられるのかを、分かりやすくお伝えしていきます。
妊娠中にデクラインベンチプレスはなぜ危険なの?
妊娠中の体は日々変化していて、今まで平気だった動作でも思わぬリスクが潜んでいることがあります。特にデクラインベンチプレスは、妊婦さんにとって避けるべき運動の代表格なんです。その理由を詳しく見ていきましょう。
仰向け姿勢による血圧低下の危険性
妊娠16週を過ぎると、お腹の赤ちゃんがぐんぐん大きくなってきますよね。その頃から気をつけたいのが、仰向けで寝ることによる「仰臥位低血圧症候群」です。
デクラインベンチプレスは頭を下にして仰向けになるため、通常の仰向けよりもさらに血液の流れが悪くなりやすくなってしまいます。トレーニング中に急に具合が悪くなって、バーベルを落としてしまう危険性もあるので、本当に注意が必要です。
普段の生活でも、仰向けで寝ていて気分が悪くなったら、すぐに左側を下にして横向きになってください。これだけで血流が改善されて、楽になることもあります。
腹部圧迫と転倒の危険性
デクラインベンチプレスは、ベンチに傾斜をつけて行うトレーニングです。この姿勢では、お腹に直接的な圧力がかかりやすくなります。
妊娠中はただでさえお腹が前に出てきて、重心のバランスが変わってきます。歩いていてもよろけやすくなったり、階段でつまずきそうになったりします。デクラインベンチプレスのような不安定な姿勢では、このリスクがさらに高まってしまうんです。
また、腹筋に力を入れることで腹圧が上がり、子宮への負担も増えてしまいます。特に妊娠後期は、ちょっとした動作でもお腹が張りやすくなるので、腹部に圧力をかける運動は控えめにしたほうが安心です。
重量物を扱うことの危険性
妊娠中は、ホルモンの影響で関節や靭帯がゆるゆるになってきます。これは出産に向けて骨盤が開きやすくなるための自然な変化なのですが、筋トレをする上では注意が必要なポイントになります。
普段なら余裕で持ち上げられる重さでも、妊娠中は思わぬケガにつながることがあるんです。特に手首や肘、肩などの関節は、重いバーベルを支えるのが難しくなってきます。無理をして重量を扱うと、筋肉や神経を傷めてしまう可能性もあるんです。
さらに、重いものを持ち上げる時についつい息を止めてしまいがちですが、これも妊婦さんには良くありません。息を止めると血圧が急上昇して、ママにも赤ちゃんにも負担がかかってしまうためです。
妊娠中に避けたほうが良い筋トレメニューは?
デクラインベンチプレス以外にも、妊娠中は控えたほうがいい筋トレメニューがいくつかあります。大切なのは、今の体の状態に合わせて運動を選ぶこと。無理は禁物ですよ。
仰向けで行う全ての運動
先ほどお話しした仰臥位低血圧症候群のリスクを考えると、妊娠16週以降は仰向けで行う運動全般を避けたほうが安心です。
例えば、通常のベンチプレスはもちろん、仰向けで行うダンベルフライ、ヒップリフト、レッグレイズなども要注意。これらの運動は、妊娠初期まではOKでも、お腹が大きくなってきたらストップサインです。
短時間なら大丈夫だろうと思っても、トレーニング中は集中していて時間の経過に気づきにくいもの。仰向けのトレーニングは、最初から避けておくと安心です。
高重量・高負荷のトレーニング
スクワットやデッドリフトなど、下半身を鍛える王道メニューも、妊娠中は注意が必要です。高重量を扱うトレーニングは、腹圧が上がりやすく、腰への負担も大きくなります。
妊娠中はただでさえ腰痛に悩まされやすい時期。重いバーベルを担いでスクワットをすると、その負担はさらに増してしまいます。また、デッドリフトのように前かがみになる動作は、お腹が大きくなってくるとフォームが崩れやすく、腰を痛めるリスクが高まります。
呼吸も大切なポイントです。重いものを持ち上げる時、つい「ふんっ!」と息を止めてしまいますよね。でも妊娠中は、しっかりと呼吸を続けながら運動することが大切。息を吐きながら力を入れ、吸いながら戻す。この呼吸法を意識するだけでも、体への負担はぐっと軽くなります。
バランスを崩しやすい運動
妊娠が進むにつれて、体の重心はどんどん前に移動していきます。今まで何でもなかった動作でも、バランスを崩しやすくなるのは自然なことなんです。
ジャンプ系のトレーニング(ボックスジャンプ、バーピージャンプなど)や、片足立ちで行うランジ、ブルガリアンスクワットなどは、転倒のリスクが高い運動です。特に床が濡れていたり、周りに障害物があったりする環境では要注意。
バランスボールを使った運動も、一見良さそうに見えますが、実は転倒リスクが高い運動の一つ。もし使う場合は、必ず壁や手すりの近くで、いつでもつかまれる状態で行ってくださいね。
妊娠中でも安全にできるおすすめの運動
ここまで「あれもダメ、これもダメ」という話が続いて、ちょっと心配になってしまったかもしれませんね。でも大丈夫!妊娠中でも安全に楽しめる運動はたくさんあります。むしろ適度な運動は、ママにも赤ちゃんにもとってもいいことなんですよ。
ウォーキング
シンプルだけど効果抜群なのが、ウォーキングです。特別な道具も必要ないし、自分のペースで始められるのが魅力的。
歩くことで全身の血行が良くなって、足のむくみや腰痛の予防にもつながります。妊娠中は血液の流れが滞りやすくなるので、こまめに体を動かすことがとっても大切なんです。朝の涼しい時間に20分歩くだけでも、一日の調子が全然違ってきますよ。
お天気が悪い日は、ショッピングモールを歩くのもおすすめ。エアコンが効いていて快適だし、疲れたらすぐに休憩できるベンチもあります。お買い物ついでに運動もできて一石二鳥です。
歩く時のポイントは、背筋を伸ばして、腕を軽く振ること。お腹が大きくなってくると前かがみになりがちですが、意識して姿勢を正すことで腰痛予防にもなります。靴は滑りにくくてクッション性のあるものを選んでくださいね。
マタニティヨガ・ピラティス
呼吸法とストレッチを組み合わせたマタニティヨガやピラティスは、心身のリラックスに最適です。
深い呼吸を意識しながらゆっくりと体を動かすことで、自律神経が整って、妊娠中のイライラや不安も和らいでいきます。また、股関節や骨盤周りの柔軟性を高めることで、出産時の体の負担を軽減する効果も期待できるんです。
特におすすめなのが、「猫のポーズ」や「子供のポーズ」など、四つん這いで行うポーズ。お腹に負担をかけずに、背中や腰をしっかりストレッチできます。呼吸に合わせてゆっくり動くだけで、体がじんわり温まってきて気持ちいいんです。
ただし、お腹を圧迫するようなポーズや、バランスを崩しやすいポーズは避けてくださいね。不安な時は、マタニティクラスに参加するのも良い選択です。同じ妊婦さんと一緒に運動できるので、情報交換もできて楽しいですよ。
水中運動
水の中では体重が軽くなるので、関節や腰への負担が格段に少なくなります。これが水中運動の最大のメリット!
温水プールでの水中ウォーキングは、陸上でのウォーキングよりも運動強度が高いのに、体への負担は少ないという理想的な運動です。水の抵抗を受けながら歩くことで、全身の筋肉をバランスよく使えるんです。
水中での運動は、むくみの改善にも効果的。水圧が自然なマッサージ効果を生み出して、足のだるさもすっきり解消してくれます。ただし、プールサイドは滑りやすいので、移動する時は十分注意してくださいね。
水温は30度前後がベスト。冷たすぎると体が冷えてしまうし、熱すぎるとのぼせてしまいます。また、塩素の匂いで気分が悪くなる場合は無理をせず、別の運動を選んでください。
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)
地味だけどとっても大切なのが、骨盤底筋トレーニングです。骨盤底筋は、子宮や膀胱を下から支えている筋肉群のこと。
この筋肉を鍛えることで、出産時のいきみがスムーズになったり、産後の尿もれ予防にもつながります。やり方はとってもシンプル。おしっこを途中で止めるように、肛門と膣をきゅっと締める動作を繰り返すだけ。
最初は感覚がつかみにくいかもしれませんが、続けていくうちに必ず筋肉の動きが分かるようになってきます。トイレに行った時、排尿を途中で止めてみる練習から始めるのもいいですね。ただし、実際の排尿中に何度も止めるのは膀胱炎の原因になるので、あくまで感覚をつかむ程度にしてください。
まとめ
デクラインベンチプレスのような仰向けで重量を扱う運動は、血圧低下や転倒のリスクがあるため避けるべきですが、それは決して「運動をあきらめなさい」という意味ではありません。ウォーキングやマタニティヨガ、水中運動など、妊娠中でも安全に楽しめる運動はたくさんあります。
大切なのは、今の自分の体と向き合いながら、無理のない範囲で体を動かすこと。適度な運動は、ママの体力づくりだけでなく、赤ちゃんの健やかな成長にもつながります。体調の良い日は積極的に体を動かして、疲れた日は無理せずお休みする。そんなメリハリをつけながら、マタニティライフを楽しんでいきましょう。
妊娠中は体の声をしっかり聞いて、赤ちゃんと一緒に過ごす大切な時間を大切にしてください。運動を通じて、出産に向けて心も体も整えていけたら素敵ですね。





