妊娠中の食事って気を付けることがたくさんありますよね。特にチーズは種類によって食べても大丈夫なものとそうでないものがあって迷ってしまいます。
「うっかりナチュラルチーズを食べてしまった」という場合、どうするのが最善でしょうか。
この記事では、ナチュラルチーズを食べてしまった時の対処法や体への影響、そして妊娠中でも安心して食べられるチーズについて詳しくお伝えします。知識を身につけて、安心して妊娠生活を送りましょう。
ナチュラルチーズを食べてしまった!まずとるべき対処法
ナチュラルチーズを食べてしまったとき、まず大切なのは慌てないこと。リステリア菌の心配はありますが、すべてのナチュラルチーズに菌がいるわけではありませんし、食べたからといって必ず感染するわけでもありません。まずは落ち着いて、適切な対応をしていきましょう。
まずは落ち着いて食事内容をメモ!
「ナチュラルチーズを食べてしまった!」と気づいたときは、まず深呼吸して落ち着きましょう。実はナチュラルチーズを食べたからといって、すべての人がリステリア菌に感染するわけではないんです。
まずは食べた詳細情報をメモしておくことが大切です。「食べたチーズの種類は何か」「いつ食べたのか」「加熱したものだったか」など、できるだけ詳しく記録しておきましょう。これは後で医師に相談する際に役立ちます。
もし包装が残っていれば取っておくと、製造方法や原材料が確認できるので安心材料になります。どうしても不安な場合は、かかりつけ医に相談してみると良いでしょう。
体調変化に気を配ろう
ナチュラルチーズを食べた後は、体調の変化に敏感になっておくことが重要です。リステリア菌に感染した場合、症状が現れるまでには数日から数週間かかることもあります。
特に注意したい症状は、悪寒や発熱、背中の痛みなどです。また、嘔吐や下痢などの食中毒の症状や、風邪に似た症状が出ることもあります。毎日の体調をチェックして、普段と違う感覚があれば記録しておきましょう。
ただし、妊娠中はホルモンバランスの変化などで体調の変化が起こりやすい時期でもあります。少しの変化にびくびくするよりも、継続的な観察を心がけることが大切です。お腹の張りや出血など、妊娠に直接関わる症状がある場合は、リステリア菌とは関係なくすぐに医師に相談しましょう。
心配な時はすぐに病院へ
体調の変化を感じたり、どうしても不安で眠れないような場合は、迷わず病院を受診することをおすすめします。早めの対応が母子ともに安心につながります。受診の際には、何をどのくらい食べたのかを医師に伝えましょう。
リステリア感染症は早期発見・早期治療が何よりも大切です。抗生物質による治療で改善することが多いので、症状が出たらすぐに対応することで深刻な事態を防げます。
心配しすぎはストレスになるので良くありませんが、気になることは医師に相談して、プロの判断を仰ぐことが一番です。妊娠中は「念のため」の受診も大切にしましょう。
リステリア菌に関する情報まとめ
ナチュラルチーズが心配される理由は「リステリア菌」の存在です。このリステリア菌とはどのようなものなのか、妊娠中の体や赤ちゃんにどのような影響があるのか、詳しく見ていきましょう。
リステリア菌って何?
リステリア菌は、食中毒の原因となる細菌の一種です。自然界に広く存在し、土壌や水、動物の腸内などにも見られます。特に加熱処理されていないチーズや生野菜、生肉などの食品に潜んでいる可能性があります。
このリステリア菌、実は少し厄介な特性を持っています。冷蔵庫の中でも増殖できるんです。一般的な細菌は冷蔵庫の低温環境では増殖しにくいのですが、リステリア菌は0℃以上であれば増えることができます。ですから、長期間冷蔵庫に保存していた食品にもリステリア菌が増えている可能性があるんですね。
また、リステリア菌は熱に弱いという特徴があります。中心温度が75℃で1分以上加熱すれば死滅するので、しっかり加熱調理することが予防の基本となります。
リステリア菌感染のリスクは?
妊婦さんがリステリア菌に特に注意する必要があるのは、妊娠中は免疫力が低下しているからです。実は、健康な成人と比べて妊婦さんはリステリア菌に感染する確率が約20倍も高いと言われています。
リステリア菌に感染すると、初期症状としては嘔吐や下痢などの食中毒症状が現れることがあります。また、悪寒、発熱、筋肉痛など風邪のような症状が出ることもあります。ただし、症状がとても軽く、風邪と勘違いしてしまうこともあるので注意が必要です。
感染から症状が出るまでの潜伏期間も様々で、早い場合は食べてから24時間以内に症状が出ることもあれば、2~3週間後に症状が現れることもあります。このような特徴から、「あのとき食べたチーズが原因かも」と気づくのが難しいことも。
赤ちゃんへの影響は?
リステリア菌感染で最も心配なのはお腹の赤ちゃんへの影響です。リステリア菌は胎盤を通過する能力を持っているため、妊娠中に感染すると赤ちゃんにも影響が及ぶ可能性があります。
特に妊娠初期に感染した場合、流産のリスクが高まると言われています。また、妊娠後期の感染では早産の原因になることもあります。最悪の場合、赤ちゃんが亡くなることもあると報告されています。
ただし、こうした深刻な事態は、あくまでも「可能性」として知っておくべきことです。必ずしもすべての感染でこのような深刻な状況になるわけではありませんが早期発見・早期治療によって、母子ともに無事に過ごせるケースがほとんどです。正しい知識を持って、必要な予防策を講じることが大切ですね。
妊娠中でも安心して食べられるチーズって?
妊娠中のチーズ選びに悩む方も多いと思います。ここでは、妊娠中でも比較的安全なチーズの種類と選び方について詳しくご紹介します。
プロセスチーズ
プロセスチーズは製造過程で加熱処理がされているため、妊娠中でも安心して食べることができるチーズです。スーパーでよく見かけるスライスチーズや、個包装になっているカットチーズ、子供向けのキャンディチーズなどが、このプロセスチーズに該当します。
プロセスチーズの製造過程では、原料となるナチュラルチーズを一度粉砕し、乳化剤などを加えた後、高温で加熱・殺菌します。この工程でリステリア菌は死滅するため、安全性が高いのです。
殺菌乳を原料としたナチュラルチーズ
日本で流通している国産のナチュラルチーズの多くは、加熱殺菌された牛乳(殺菌乳)を使用して作られています。これらのチーズは比較的安全に食べることができます。
ただし、すべての国産チーズが殺菌乳を使用しているわけではありません。中には風味を重視して生乳(非加熱乳)にこだわって作られているチーズもあるため、国産だからといって必ずしも安心とは言い切れません。
購入前にはパッケージの表示をよく確認することが大切です。「殺菌乳使用」「パスチャライズドミルク使用」などの表記があれば安心です。不明な場合は、メーカーの公式ホームページをチェックするか、お客様窓口に問い合わせてみましょう。
特に高級チーズや専門店で販売されているチーズは、製法にこだわっているものも多いので、より注意が必要です。食べる前に確実な情報を確認するのが最も安全な方法です。
加熱調理したプロセスチーズ・ナチュラルチーズ
リステリア菌は熱に弱く、中心部分の温度が75℃以上で1分以上加熱すれば死滅します。そのため、ピザやグラタン、チーズトーストなど、しっかり加熱調理されたチーズ料理であれば、ナチュラルチーズでも安心して食べることができます。
チーズフォンデュやラクレットなど、チーズを溶かして食べる料理も、十分に加熱されていれば大丈夫です。ただし、途中で温度が下がってしまい、十分な加熱状態を保てないこともあるので、長時間放置せずに食べることをおすすめします。
妊娠中のチーズ選びで迷ったときは、「加熱されているか」「殺菌乳を使用しているか」という2つのポイントを確認すると良いでしょう。どうしても判断に迷う場合は、妊娠中だけは避けておくという選択も賢明です。
まとめ
妊娠中にナチュラルチーズを食べてしまったときの対処法や、リステリア菌についての知識、そして妊娠中でも安心して食べられるチーズについてご紹介してきました。妊娠中の食事選びは神経質になりがちですが、正しい知識を持っていれば過度に心配する必要もありません。
まず、ナチュラルチーズを食べてしまった場合は、慌てず食べたチーズの種類や量、日時をメモしておきましょう。その後は体調の変化に注意し、心配な症状があればすぐに医師に相談することが大切です。
リステリア菌は妊婦さんにとって特に注意が必要な細菌です。健康な成人より感染しやすく、赤ちゃんへの影響も心配されます。しかし、すべてのナチュラルチーズにリステリア菌がいるわけではなく、感染してもすべての方に重篤な症状が出るわけではありません。
妊娠中は赤ちゃんのために様々な制限がありますが、無理なストレスを抱え込むことも良くありません。安全に食べられるチーズを選んで、栄養バランスの良い食生活を心がけましょう。時には専門家に相談しながら、リラックスした気持ちで妊娠生活を送ることが、母子ともに健やかに過ごすコツです。
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