妊娠がわかってから、今まで何気なく食べていた魚料理にも敏感になってしまうもの。
ブリの焼き物については、水銀が心配、と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、ブリは妊娠中でも安心して食べられる魚の代表格なんです。正しい知識を身につけて、栄養たっぷりのブリを美味しく安全に楽しみましょう。
妊娠中でも安心してブリを食べられる?
魚の水銀問題について耳にすると、どの魚なら大丈夫なのか判断に迷ってしまうもの。
ブリに関しては、妊娠中でも通常の摂取なら全く問題ありません。その理由を詳しく見ていきましょう。
水銀の心配はほとんど不要
厚生労働省の妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項にはブリはリストアップされていません。つまり、妊娠中でも摂取量を特に気にする必要がない魚と言えるでしょう。
マグロやサメ、メカジキなどの大型魚は食物連鎖の上位にいるため、体内に水銀が蓄積しやすい特徴があります。一方、ブリは中型魚でありながら、水銀の蓄積量が非常に少ないのが特徴です。
仮に一度にたくさん食べてしまっても、基本的には健康への影響はありません。むしろ心配すべきは水銀よりも、タンパク質や鉄分を他の食材とバランスよく摂ることの方が重要です。
魚の栄養価は妊婦におすすめ
ブリが妊娠中におすすめな理由は、水銀が少ないだけではありません。豊富な栄養素が妊婦と胎児の健康をサポートしてくれるからです。
特に注目したいのがDHAとEPAです。オメガ3脂肪酸の一種であるこれらの成分は、胎児の脳や神経系の発達に欠かせません。妊娠中期から後期にかけて、胎児の脳は急速に発達するため、良質な脂質の摂取がとても重要になってきます。
さらに、ブリには鉄分も豊富に含まれています。妊娠中は血液量が増加するため、鉄欠乏性貧血になりやすい時期です。ブリの鉄分は体内に吸収されやすいヘム鉄という形で含まれているため、効率よく鉄分補給ができるのも嬉しいポイントです。
タンパク質の含有量も見逃せません。胎児の筋肉や臓器の形成に必要な良質なタンパク質を、わずか50g程度のブリで一日の必要量の大部分を満たすことができます。日本人の魚離れが進む中、妊娠中こそ意識的に魚を取り入れることが、栄養バランスの改善につながるでしょう。
焼き物は食中毒リスクも減らせる
妊娠中は免疫力が低下するため、普段なら問題ない細菌でも感染リスクが高くなってしまいます。特に生魚には、リステリア菌やサルモネラ菌などの食中毒の原因となる菌が潜んでいる可能性があります。
焼き物なら中心部まで75度以上で加熱することで、これらの菌を確実に死滅させることができます。また、アニサキスなどの寄生虫も加熱により無害化されるため、安全性が格段に向上します。
調理する際は、魚の中心部が白っぽく変色し、箸で押すと身がホロホロと崩れる状態まで火を通すのがポイントです。副菜には葉物野菜やきのこ類を組み合わせることで、ビタミンや食物繊維も同時に摂取でき、栄養バランスの整った食事になります。
| 調理法 | 安全性 | 栄養価の保持 |
|---|---|---|
| 焼き物 | ◎(菌・寄生虫完全除去) | ○(DHAは一部流出) |
| 煮物 | ◎(十分な加熱) | ◎(栄養素が煮汁に残る) |
| 刺身 | △(感染リスクあり) | ◎(栄養素そのまま) |
妊婦向けのブリ焼き物レシピと調理ポイント
ブリの安全性がわかったところで、実際に美味しく調理するコツをご紹介します。妊娠中は味覚が変化したり、つわりで食べられるものが限られたりすることもありますが、工夫次第でブリを美味しく楽しむことができます。
塩分控えめな照り焼きが定番
妊娠中の定番料理といえば、やはりブリの照り焼きです。フライパンで皮目から焼き始めることで、皮がパリッと仕上がり、身の旨味も逃げません。
基本の照り焼きは、砂糖大さじ1、みりん大さじ2、醤油大さじ2を混ぜ合わせたタレで仕上げます。ただし、妊娠中は高血圧のリスクもあるため、減塩醤油を使ったり、砂糖の代わりにみりんを多めに使ったりして、塩分を控えめにするのがおすすめです。
調理時間は片面3〜4分ずつで、じっくりと焼き上げることで中心まで火が通ります。鉄分の吸収を高めるため、ビタミンCを含む野菜と一緒に食べると効果的です。ブロッコリーやピーマンを付け合わせにすれば、彩りも美しく栄養バランスも整います。
短時間で作れるため、疲れやすい妊娠中でも負担になりません。冷めても美味しいので、お弁当のおかずとしても重宝するでしょう。作り置きして翌日の昼食にするのも良いアイデアです。
臭みを抑える下処理が重要
ブリを美味しく食べるためには、下処理がとても重要です。特に妊娠中はにおいに敏感になることが多いため、臭みをしっかりと取り除くことで、最後まで美味しく食べることができます。
まず、焼く前に切り身の両面に薄く塩をふり、15分ほど置きます。するとブリの余分な水分が出てくるので、キッチンペーパーでしっかりと拭き取ります。さらに、熱湯を回しかける「霜降り」という技法を使うと、臭みの原因となる血合いや汚れが取れます。
皮付きのまま調理することで、DHAやEPAなどの栄養素の流出を防ぐことができます。皮には独特の風味があり、好き嫌いが分かれるところです。妊娠中は特に栄養価を重視したいため、できるだけ皮も一緒に食べることをおすすめします。
鮮度の見極めも大切です。切り身を選ぶ際は、身に透明感があり、血合いの部分が鮮やかな赤色をしているものを選びましょう。購入後はその日のうちに調理するか、すぐに使わない場合は適切に冷凍保存することが安全面でも重要です。
小分け冷凍保存で計画的に食べる
妊娠中は体調の変化が激しく、予定通りに料理ができない日もあります。そんなときのために、ブリを小分けして冷凍保存しておくと便利です。
冷凍する際は、1回分ずつラップで包み、さらに冷凍用保存袋に入れて空気を抜いて保存します。解凍は冷蔵庫でゆっくりと自然解凍させるのが理想的です。急いでいるときは流水解凍でも構いませんが、電子レンジでの解凍は魚の組織を壊してしまうため避けましょう。
解凍後は水分が出やすくなっているため、キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取ってから調理します。解凍した魚は必ず中心まで十分に加熱し、食中毒を防ぐことが重要です。
保存の目安は、冷蔵で2日、冷凍で2週間程度です。ただし、できるだけ早めに食べきることで、より美味しく安全に楽しむことができます。冷凍庫に常備しておけば、急に魚が食べたくなったときや、他のおかずが思い浮かばないときにも重宝するでしょう。
妊娠中のブリに関するよくある疑問
ブリについて基本的な知識を身につけたところで、妊娠中によく寄せられる疑問にお答えします。不安や心配を解消して、安心してブリを楽しんでください。
Q. 焼き物以外でも大丈夫?
焼き物以外の調理法でも、加熱さえしっかりと行えば妊娠中でも安心して食べることができます。煮物やムニエル、フライなど、中心まで火が通る調理法なら基本的に問題ありません。
特に煮物は、調理過程で栄養素が煮汁に溶け出すため、汁ごといただくことで無駄なく栄養を摂取できます。大根やにんじんと一緒に煮れば、ビタミンや食物繊維も同時に摂れて一石二鳥です。
ムニエルの場合は、バターで焼くことでコクが増し、食欲がない時でも食べやすくなります。ただし、妊娠中は体重管理も重要なため、油の使用量は適度に控えめにすることを心がけましょう。
一方、刺身については原則として控えることをおすすめします。どうしても食べたい場合は、信頼できる鮮魚店で当日仕入れた新鮮なものを選び、量を少なくするなどの配慮が必要です。体調や季節によってもリスクが変わるため、判断に迷ったときは主治医に相談することが大切です。
Q. 水銀が心配なときは?
ブリは水銀をあまり含まない魚なので、過度な心配は必要ありません。それでも気になる場合は、週1〜2回程度を目安にして、他の魚や肉とローテーションすると安心です。
例えば、月曜日はブリ、水曜日は鶏肉、金曜日はサケといったように、タンパク質源を変えることで、栄養バランスも良くなり、水銀の心配も軽減できます。魚だけに偏らず、豆腐や卵なども組み合わせることで、より多様な栄養素を摂取できるでしょう。
もし過去にブリを多めに食べてしまったことがあっても、今後の食事を調整すれば胎児への影響はほとんどありません。母体から水銀は徐々に排出されるため、一時的に多く摂取したからといって深刻な問題になることはめったにありません。
不安が強い場合は、次回の妊婦健診で主治医に相談してみてください。個人の体質や妊娠の経過によって、適切なアドバイスをもらえるはずです。心配しすぎることで食事が偏ってしまう方が、栄養面では問題となることもあります。
Q. 妊婦は寿司や刺身を食べてもいい?
焼き魚とは異なり、寿司や刺身については慎重になる必要があります。生魚にはリステリア菌やサルモネラ菌などの食中毒リスクがあるため、妊娠中は原則として控えることが推奨されています。
特にリステリア菌は、妊婦が感染すると胎児に影響を与える可能性があります。流産や早産のリスクが高まることもあるため、生魚の摂取は避けるのが安全です。
どうしても寿司や刺身が食べたい場合は、信頼できる店で鮮度の高いものを選び、量を少なくすることが重要です。また、体調が優れないときや、免疫力が低下していると感じるときは、特に注意しましょう。
食後に発熱や腹痛、下痢などの症状が現れた場合は、自己判断せずに速やかに医師に相談してください。妊娠中の食中毒は、普段よりも重篤になることがあるため、早めの対応が大切です。
まとめ
妊娠中のブリの摂取について、様々な角度から詳しく見てきました。水銀の心配はほとんど不要で、むしろ積極的に摂りたい栄養豊富な魚だということがおわかりいただけたでしょうか。
調理方法も工夫次第で、飽きることなく楽しめます。照り焼きや煮物、ムニエルなど、その日の気分や体調に合わせて様々な味付けを試してみてください。下処理をしっかりと行い、中心まで加熱することで、安全で美味しいブリ料理を作ることができます。
不安になったときは一人で悩まず、主治医や栄養士などの専門家に相談することも大切です。正しい知識を身につけて、妊娠中の食事を楽しく豊かなものにしていきましょう。
妊娠サポートナビ.comには妊娠中の食事に関する記事もたくさんあります。ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。
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