おせちを前に「これ、食べていいのかな…」とちょっと手が止まった経験、ありませんか。妊娠中の食事は気にすることが多すぎて、お正月のごちそうの前でさえ不安になってしまうのは、決して神経質すぎるわけじゃないんです。
つと巻きをはじめとするかまぼこ系の練り物は、食べてもいいのか・何が気になるのかをちゃんと知っておくと、罪悪感なく楽しめます。この記事を読み終える頃には、お重の前で迷わなくてすむようになっているはずですよ。
つと巻きとは?かまぼこ系おせちとの違いを知ろう
「つと巻き」という名前に馴染みがない方も多いかもしれませんが、実はかまぼこの仲間です。種類の違いや何から作られているのかを知っておくと、栄養や塩分を考えるときにもぐっとイメージしやすくなります。
つと巻きってどんな食べ物?
つと巻きとは、エソやグチ(イシモチ)などの白身魚のすり身を筒状に成形し、麦わら(ストロー)を周りに均一に巻きつけて蒸したかまぼこの一種です。表面に麦わらの波形が美しく刻まれているのが特徴で、切り口はきれいな丸い形。中国・四国地方の特産品として昔から親しまれており、地域によっては「ストかまぼこ」とも呼ばれています。
おせち料理のイメージとしては、よく見かける紅白の板かまぼこや伊達巻のほうが親しみがあるかもしれません。つと巻きは「やや塩味がかかっていて弾力が強い」という、かまぼことしての正統派な味わいが特徴。食感はしっかりもちもちっとしていて、噛めばじゅわっと白身魚の旨みが広がります。主原料は白身魚のすり身で、そこに塩・砂糖・でんぷんなどを加えて練り合わせ、加熱して作られます。
日本かまぼこ協会の資料によれば、つと巻きのような蒸しかまぼこは可食部100グラム中にたんぱく質が約12グラム含まれており、低脂肪・高たんぱくのヘルシーな加工食品として位置づけられています。生のお魚を食べるのが難しい妊婦さんにとって、火がしっかり通っているという安心感もあります。
かまぼこ系練り物の種類とおせちでの役割
おせちに入る練り物系の食材は意外と多く、それぞれが異なる食感や見た目を持っています。つと巻きのほかにも、妊娠中に食べることが多い練り物がいくつかあるので、まとめて把握しておきましょう。
主な練り物の違いを以下に整理しました。
| 名前 | 主な原料 | 特徴・見た目 | 塩分(100gあたり目安) |
|---|---|---|---|
| つと巻き | 白身魚(エソ・グチ) | 麦わら巻き・弾力が強い | 約1.5〜2.0g |
| 板かまぼこ(蒸し) | スケトウダラなど | 半円板状・定番 | 約2.0〜2.5g |
| 伊達巻 | 白身魚+卵 | 巻き形・甘め | 約0.9〜1.5g |
| なると | 白身魚 | 渦巻き模様・薄切り | 約1.5g前後 |
| はんぺん | 白身魚+山芋 | ふわふわ・柔らかい | 約1.5g前後 |
練り物のなかで比べると、つと巻きは伊達巻よりも塩分がやや高め。板かまぼこと同程度か、少し低い傾向にあります。いずれも一度にたくさん食べなければ過度に心配するものではありませんが、妊娠中は塩分の積み重ねを意識することが大切です。
おせちでのつと巻きは、紅白かまぼこと並べて飾られたり、お雑煮の具として使われたりすることもあります。さっぱりとした旨みで他の料理との相性がよく、おせち全体のなかでの存在感はとても頼もしいものです。
生魚ではなくて安心、でも「加工食品」という意識も大切
妊娠中に生魚や鮮度の怪しいものを避けなければいけない理由は、食中毒リスクや水銀摂取量の心配にあります。その点、つと巻きのような蒸しかまぼこは製造工程でしっかりと加熱処理されているため、食中毒リスクという意味では安心して食べられる食品です。生魚や刺身を控えている時期でも、練り物であれば問題ありません。妊娠中は免疫力が低下しやすく、食中毒にかかった場合には胎児にも影響が及ぶリスクがあります。加熱済みかどうかを確認する習慣は、妊娠期間を通してとても大切なことです。
ただし、「加工食品」であるという認識は忘れないようにしたいところです。かまぼこ類は魚の良質なたんぱく質を多く含む一方で、塩分も相応に含まれています。生のお魚を食べるときの水銀量の心配がないことも、つと巻きを含む練り物の安心できるポイントのひとつ。大型魚(クロマグロ、メバチマグロ、キンメダイなど)には水銀が蓄積されやすいのですが、スケトウダラやエソなどの白身魚を原料とするかまぼこでは、その心配はほぼありません。妊娠中にとくに気をつけたい塩分のこと、タンパク質のことをもう少し詳しく見ていきましょう。
妊娠中の塩分とつと巻きの関係
妊婦さんにとって塩分管理は、むくみや血圧の問題に直結するため、食事選びのなかでも大切なポイントのひとつです。つと巻きやかまぼこが塩分的にどの程度のものなのか、具体的に確認しておきましょう。
妊娠中に1日に摂っていい塩分の目安
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」では、18歳以上の女性の1日の食塩摂取目標量は6.5g未満と定められています。妊娠中でもこの基準は変わりません。ところが、日本人の成人女性の実際の食塩摂取量の平均は約9.3gとされており、多くの方がすでに目標を超えた状態にあります。
妊娠中に塩分を摂りすぎると、体のなかで何が起きるのでしょう。血液中のナトリウム濃度が上がると、体はそれを薄めようと水分をため込もうとします。そのためにじわじわと血液量が増え、血管への圧力が高まって高血圧につながることがあります。妊娠中特有の「妊娠高血圧症候群」は、むくみや高血圧が重なって起こるもので、重症化すると赤ちゃんへの酸素・栄養の供給が滞るリスクも生じます。ふくらはぎがパンパンにむくんで靴が脱げなくなる…そんな辛い経験をされた妊婦さんも少なくありません。
とはいえ、産科医院や産婦人科医が指示する「塩分制限」というのは、すでに血圧が高めだったりたんぱく尿が出ていたりする場合のもの。健康に問題がない妊婦さんが普通の食事で食塩を6.5gに抑えようと神経質になりすぎる必要はありませんが、加工食品を複数組み合わせる年末年始は、気づかぬうちに塩分が積み重なりやすい時期でもあります。
つと巻き1切れに含まれる塩分はどのくらい?
つと巻きをおせちとして食べるとき、大体どのくらいの塩分を摂ることになるのでしょう。蒸しかまぼこ100グラムあたりのナトリウム含有量は約1000ミリグラム(食塩相当量にして約2.5グラム)ほどです。つと巻きは製品によって異なりますが、1切れ(約20〜30グラム)で計算すると食塩換算で0.3〜0.6グラム程度になります。
おせちの1食で2〜3切れ食べたとしても、つと巻きだけで1グラムちょっと。それ自体が即問題というわけではありません。ただ、おせちには他にも塩分を含む食材がたくさんあります。数の子・黒豆・佃煮・なます・お雑煮の汁…これらが重なると、気づかぬうちに1食だけで4〜5グラムに達することも。
「おせちを食べる日は外食や加工食品を控える」「汁物は少なめにする」といった全体のバランスで調整することが、年末年始を気持ちよく過ごすコツです。
塩分を気にしながら食べる、賢い食べ方
塩分を完全にゼロにすることは目標でも理想でもありません。大切なのは「1日トータルで塩分をどのくらい摂っているか」という全体のバランス感覚です。おせちでつと巻きを食べたその日は、夜のお味噌汁を薄めにするとか、漬け物を省いてみるとか。そういった小さな調整が、無理なく続けられる減塩の一歩になります。
カリウムを多く含む食材(野菜・海藻・果物・いも類など)を一緒に摂るのもおすすめです。カリウムは体内のナトリウムを排出するのを助ける働きがあり、レモンやゆずを料理に絞ったり、ほうれん草のお浸しを添えたりするだけでも塩分の影響を穏やかにする効果が期待できます。お正月の食卓に少し野菜を加えてみる、それだけで十分です。
妊娠中のタンパク質とつと巻きの栄養価
おせちを食べているとき「これって赤ちゃんのためになってるのかな」と思うことはありませんか。つと巻きのようなかまぼこ系練り物は、実は妊娠中に必要なタンパク質を手軽に補える食品です。栄養面でのメリットも見ておきましょう。
妊娠中にタンパク質が大切な理由
妊娠中は、お腹の赤ちゃんの体を作るための栄養素がたくさん必要になります。なかでもタンパク質は、赤ちゃんの臓器・筋肉・皮膚・血液のすべての材料となる、まさに「命を育む素」。妊娠中期以降は非妊娠時より1日5〜25グラム多くタンパク質を摂ることが推奨されています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」より)。
ただ、つわりの時期や食欲がムラになる時期には、お肉やお魚をしっかり食べることが難しいこともあります。そういうときに「食べやすくて、タンパク質が含まれているもの」としてかまぼこ系の食品は意外と重宝します。消化に優しく、しゅっとした薄切り1枚からでも手軽に摂れるのが嬉しいポイントです。
かまぼこに含まれる栄養素まとめ
かまぼこ系練り物には、タンパク質以外にも妊婦さんにうれしい栄養素が含まれています。魚由来のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPAは、赤ちゃんの脳や神経系の発育に関わる栄養素として知られています。含有量はそれほど多くはありませんが、肉や卵ではなかなか摂れない成分を補う意味で、日常的に魚由来の食品を取り入れることには意義があります。
また、ビタミンB12は赤血球を作るのを助けるビタミンで、妊娠中の貧血予防にも関わります。かまぼこ100グラムあたり約0.44マイクログラム含まれており、ちいさな補給源として機能します。さらにカリウムも含まれており、前述の塩分(ナトリウム)の影響を和らげる効果が期待できるのも、かまぼこの興味深い点です。
つと巻きも含めて、かまぼこ類は「添加物が心配」という声もあります。食品添加物(でんぷん・保存料・着色料など)については、国内で市販されているものは食品衛生法に基づいた安全基準を満たしており、通常の食事量での摂取であれば妊娠中も問題ないと考えられています。気になるときは、原材料表示がシンプルで添加物の少ない製品を選ぶと安心感が増しますね。スーパーで購入するときにパッケージ裏面をさっとチェックする習慣をつけておくと、食材選びがどんどん上手になっていきます。
つと巻きをおせちで食べるときの量の目安
「じゃあ何切れまでなら食べていいの?」という疑問へのシンプルな答えは、「おせちのなかの1品として、他の料理とバランスよく楽しむ程度なら問題ない」ということです。お皿に盛ってある2〜4切れを普通に食べる分には、タンパク質摂取として歓迎すべき食べ方です。
ただし、おせちは塩分を含む食材が多いため、つと巻きだけをたっぷり食べるよりも、野菜や煮しめ、酢の物、黒豆などとバランスよく組み合わせて食べることを意識してみてください。お正月の食卓では、練り物2〜3切れ・煮しめ少量・なます少量・黒豆少量、といった「少量ずつ種類を楽しむ」スタイルが塩分管理的にも理にかなっています。お重のなかをよく見ると、小さな量を少しずつ詰められているはず。あの詰め方こそが、賢い食べ方のヒントになっています。
食べることそのものが、心の栄養にもなります。妊娠中だからといって食卓から遠ざかったり、「自分だけ別メニュー」と孤独に感じることは避けたいもの。家族と同じものを同じテーブルで食べながら、食材の選び方や量でさりげなく調整する。それができるようになると、産後も続く食事管理がぐっとラクになっていきます。
まとめ
妊娠中につと巻きを食べることは、基本的に問題ありません。しっかり加熱された魚のすり身から作られるつと巻きは、食中毒リスクがなく、良質なタンパク質を含む安心できる食品です。おせちの重箱を前に「これは食べていい?」と迷ってしまうのはよくわかりますが、つと巻きについていえば怖がらなくて大丈夫。
意識しておきたいのは塩分のトータルバランスです。妊娠中の1日の塩分目安は6.5g未満。つと巻き1切れの塩分は0.3〜0.6グラム程度なので、2〜3切れ食べてもそれだけで問題になるわけではありませんが、おせちには他にも塩分を含む料理がたくさんあります。食べた日の残りの食事を少し薄味にするなど、1日単位で帳尻を合わせる感覚でいれば十分です。
つわりが落ち着いてお正月を迎えられた喜びを、おいしい食事とともに感じられますように。練り物のもちもちとした食感に、白身魚の旨みがじんわり広がるあの感覚は、妊娠中でもちゃんと楽しんでいい時間です。むしろ、赤ちゃんのためのタンパク質補給として堂々と食べてください。
血圧やむくみで主治医から食事指導を受けている場合は、その指示を最優先に。疑問があるときは次の健診でさっと聞いてしまうのが一番確実です。専門家への相談の習慣が、妊娠期間の安心につながります。
妊娠サポートナビ.comには妊娠中の食事に関する記事もたくさんあります。ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。
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