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妊娠中にいちご煮を食べても大丈夫?ウニ・アワビの栄養と食中毒リスク

妊娠中の食べ物

この記事は栄養士によって監修されています

この記事を監修された先生

中村あゆみ先生

中村 あゆみ 先生

東京農業大学応用生物科学部卒業。食品企業での勤務経験を経て、都内保育園で栄養士として従事。妊娠中のお母さんへの栄養相談や食育活動に携わる。現在は茨城県内のこども園で子供たちの食育指導や献立作成を担当。茨城県栄養士会所属。

中村先生の詳細プロフィール

「いちご煮」という名前を聞いて、苺を煮たデザートだと思っていませんか?じつはウニとアワビたっぷりの贅沢なお吸い物のこと。旅行土産としてもらったり、帰省時に出たけれど、妊娠中に食べて大丈夫か不安で開けられない、そんな声はとても多いんです。

生ものって一言で言っても、ウニ・アワビ・缶詰…種類ごとに話が違うから、調べれば調べるほど混乱してしまいますよね。この記事では「妊娠中のいちご煮、結局どうすれば安心して食べられるの?」という疑問に、できるだけ丁寧にお答えします。

そもそも「いちご煮」ってどんな料理?

いちご煮がどんな料理なのか知っておくと、なぜ妊娠中に注意が必要なのかが自然と見えてきます。名前のイメージと中身のギャップが大きい料理だからこそ、まず土台の知識を整えておきましょう。

青森・八戸が誇る郷土料理の歴史

「いちご煮」という名前を初めて聞いた人が全員ぽかんとしてしまうのも、無理のないことです。ウニとアワビのお吸い物が、なぜ「いちご」という名前なのでしょう。

お椀に盛り付けたとき、乳白色のスープの中に黄金色のウニがふわっと浮かぶ様子が、朝もやの中に霞む野いちごのように見えたことから名付けられたとされています。なんとも風流な命名センスですね。

発祥は青森県八戸市を中心とした県南地方。三陸の豊かな海でウニとアワビが豊富に採れたからこそ生まれた漁師料理で、もともとは漁師たちが浜辺で豪快に食べていたシンプルな一品でした。大正時代には料亭でも供されるようになり、2007年には農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選定されています。

現在では祝いの席や正月に欠かせない料理として地元に根付いており、毎年7月には「いちご煮まつり」も開催されています。1980年代に地元業者が缶詰を開発したことで、全国から手軽に取り寄せられるようになり、お土産としての知名度も一気に広まりました。

缶詰の原材料を見ると「蒸しウニ・ロコ貝(アワビの代用貝)・帆立エキス・鰹節エキス」などが入っています。市販の缶詰はすでに加熱処理されており、生の状態のウニやアワビとは食品としての性質が異なります。これが缶詰と生ものを判断するうえでの大切なポイントになります。

ウニとアワビに含まれる主な栄養素

妊娠中はとにかく栄養が気になるもの。ウニもアワビも、実は栄養の宝庫です。食べ方さえ間違えなければ、母体にも赤ちゃんにもうれしい成分がたっぷり含まれています。

ウニに含まれる代表的な栄養素は、葉酸・DHA・EPA・タウリン・ビタミンB群・ビタミンEなどです。葉酸は妊娠前から積極的に摂りたい栄養素として有名で、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げるとされています。DHAとEPAは赤ちゃんの脳や神経の発達を助けるオメガ3脂肪酸で、妊娠中も積極的に摂りたい成分です。タウリンは胎児や乳幼児の成長、特に脳の成長を助けるとも言われています。

アワビはビタミンB1・B2・B12を豊富に含み、代謝をサポートしてくれます。特にビタミンB12は細胞分裂に深く関わり、血球の形成にも欠かせない栄養素です。タウリンも豊富で、妊娠中の体を内側からサポートしてくれます。実は「アワビを食べると目のいい子が生まれる」という昔からの言い伝えがありますが、赤ちゃんの網膜が形成される妊娠3〜5ヶ月頃にタウリンを摂ることが理にかなっているとする見方もあります。もちろん科学的に証明されているわけではありませんが、栄養の観点からはまんざら根拠のない話でもありません。

ただし、どんなに栄養豊富であっても、妊娠中の食べ方には守るべきルールがあります。食べ方次第で体にやさしい食材にも、リスクをはらんだ食材にもなり得るのが魚介類の難しいところです。

ウニ・アワビの栄養素まとめ表

栄養素 主な食材 妊娠中の主なはたらき
葉酸 ウニ 胎児の神経管閉鎖障害リスクを低下させる
DHA・EPA ウニ 赤ちゃんの脳・神経の発達をサポート
タウリン ウニ・アワビ 胎児の脳・網膜の成長を助ける
ビタミンB12 アワビ 細胞分裂・血球形成に関与
ビタミンB1・B2 アワビ エネルギー代謝・体の機能維持をサポート
ビタミンE ウニ 抗酸化作用・血流改善

妊娠中にいちご煮を食べるリスクとは?

栄養が豊富なウニとアワビですが、妊娠中はとにかく「食べ方」が肝心です。生なのか加熱済みなのか、その違いがリスクの大きさをがらっと変えます。どんなリスクがあるのかをきちんと知っておくことで、安心できる選択肢が自然と見えてきます。

妊娠中に生ウニ・生アワビを避けるべき理由

普段は何でもなく食べていたものでも、妊娠中は少し話が変わってきます。それは免疫機能の低下が関係しています。

妊娠中は、体が赤ちゃんを異物とみなして排除しないよう、免疫の働きが意図的に抑えられている状態が続きます。つまり、普段なら問題なく撃退できていた菌やウイルスも、妊娠中は「あたってしまう」可能性がじわっと高まるのです。

生のウニや生のアワビには、腸炎ビブリオ菌・ノロウイルス・病原性大腸菌などによる食中毒リスクが存在します。特にウニや二枚貝などは、海水中の微生物プランクトンを取り込む性質があるため、細菌やウイルスを体内に蓄積しやすい特徴があります。

食中毒になってしまった場合、繰り返す下痢や嘔吐によって子宮が収縮し、胎児に影響が出る可能性が出てきます。また妊娠中は飲める薬が限られているため、症状が長引きやすいという側面もあります。いつもなら2〜3日で治まるような食中毒でも、妊娠中はずっと引きずってしまうこともあるんです。

妊娠中に生の魚介類を食べると、子宮収縮につながる食中毒リスクが高まります。「新鮮だから大丈夫」「少しだけなら平気」という判断は、妊娠中は特に禁物です。食べてしまった場合は、かかりつけの産院に相談することをおすすめします。

水銀については心配しすぎなくていい?

生魚の話になると「水銀」が気になりますよね。マグロやメカジキなど大型の魚は水銀含有量が多いため妊娠中は注意が必要とされていますが、ウニやアワビはどうでしょうか。

結論から言うと、ウニに含まれる水銀の量はごく微量で、毎日大量に食べ続けるような極端な食生活をしない限り、水銀による影響はほぼ心配いらないとされています。アワビについても同様に、厚生労働省が妊娠中に特別注意すべき魚介類として指定しているリストには含まれていません。

もちろん「だから何でも食べてOK」ということにはなりません。どんな食材も食べすぎは体によくないですし、妊娠中の栄養は偏りなく摂ることが基本です。水銀については過剰に怖がる必要はないけれど、食べすぎには気をつけてほしい、そのくらいの感覚でいると良いでしょう。

食中毒になってしまったらどうすればいい?

万が一、生のウニやアワビを食べてしまった場合や、何かを食べた後にお腹の調子がおかしいと感じた場合は、まず落ち着いてかかりつけの産院や産婦人科に電話で相談することが大切です。

「少しだけだから様子を見よう」と判断しがちですが、妊娠中は自己判断が難しい場面が多いもの。症状がなくても不安を感じたら連絡してみてください。産院はそういった相談を受け付けていますし、電話一本で専門家の声が聞けるだけで、気持ちがすうっと落ち着くことも多いです。

嘔吐・腹痛・下痢が続く場合は脱水にも注意が必要です。水分補給をこまめに行いながら、症状が長引く場合は必ず受診するようにしましょう。妊娠中の体調変化はひとつも「たぶん大丈夫」で済ませなくていい、というのが鉄則です。

妊娠中に「いちご煮」は食べられる?安全な楽しみ方

ここまでリスクの話が続いたので、「じゃあいちご煮はもう食べられないの?」と感じているかもしれません。でも安心してください。ポイントさえ押さえれば、いちご煮を楽しめる方法はちゃんとあります。

市販の缶詰いちご煮は加熱済みで食べやすい

お土産として広く流通しているいちご煮の缶詰は、製造過程でしっかりと加熱処理が施されています。生のウニやアワビとは根本的に異なり、食中毒の原因となる菌はすでに死滅した状態です。

加熱調理されたウニやアワビであれば、妊娠中でも食べることができます。缶詰のいちご煮を温めてお椀に注ぐだけで、ほわっと磯の香りが広がる贅沢な一杯が完成します。加熱調理したものを食べるという条件をしっかり守っていれば、妊娠中の食卓にも上げてよい食材です。

ただし、缶詰でも食塩が使用されているため、塩分の摂りすぎには注意が必要です。妊娠中は妊娠高血圧症候群のリスクを下げるためにも、塩分管理が大切になります。いちご煮の汁まで全部飲み干す、毎日食べるといった食べ方は控えて、特別な日のごちそうとして楽しむくらいがちょうどよいでしょう。とはいえ、「楽しんじゃいけない」わけではありません。適量を守れば、妊娠中の食事にも彩りを添えてくれる一品です。

ウニやアワビに含まれる葉酸・タウリン・DHA・ビタミンB群などの栄養素は、加熱後も摂取できます。加熱によってすべての栄養価が失われるわけではなく、特にタウリンやビタミンB12などは加熱に比較的強い成分です。缶詰という形でも栄養をしっかり摂れる点は、忙しい妊娠中のからだにとってありがたいポイントです。

缶詰のいちご煮を使った炊き込みご飯もおすすめです。お米2合に缶詰の中身(汁ごと)を入れて炊くだけで、磯の風味たっぷりのご飯が完成します。汁で薄まるぶん塩分も調整しやすく、加熱調理の一品として安心して楽しめます。

料亭や外食でのいちご煮はどう判断する?

旅行先や外食先でいちご煮が出てきた場合、その場での判断に迷うこともありますよね。特に青森旅行中の場合は、せっかくの郷土料理を前に「食べたいけれど心配…」と複雑な気持ちになるかもしれません。

お店で提供されるいちご煮は、加熱して提供されているものがほとんどですが、生のウニをそのまま浮かべるスタイルの店もゼロではありません。注文する前にお店のスタッフに「ウニやアワビは加熱されていますか?」とさらっと確認できると安心です。

「妊娠中なので確認させてください」と伝えれば、ほとんどのお店が快く教えてくれます。聞くのが少し恥ずかしい気がする場面もあるかもしれませんが、赤ちゃんを守るための一言です。遠慮せずに聞いてみてください。

缶詰をそのまま温めて提供しているお店であれば、基本的に加熱済みと考えてよいでしょう。判断が難しい場合は、その一杯を無理に食べなくても大丈夫。その日の献立を他のメニューで楽しめばいいだけのことです。お土産として持ち帰り、自宅でしっかり温めてから食べるというのも、安心感があっていい方法です。

旅行中はどうしても食事の選択肢が限られることもあります。でも「妊娠中だから楽しめない」ではなく、「楽しみ方を少し変える」という発想でいると、旅先でも食を満喫できます。加熱された魚介料理や、地元の発酵食品・野菜料理なども青森の食文化をたっぷり楽しませてくれます。

妊娠中に魚介類を食べるときの基本ルール

いちご煮に限らず、妊娠中に魚介類を食べるときに覚えておくと便利な基本ルールをまとめておきます。食べ方の指針があると、外食先でもスーパーでも、迷わず選択できるようになります。

「加熱されているかどうか」を判断の基準にすること、これが何より大切な鉄則です。リステリア菌やノロウイルス、腸炎ビブリオ菌は、十分な加熱によって死滅します。どんなに新鮮に見えても、生の状態のものはできるだけ避けるのが安全です。

水銀が多い大型魚(マグロ、メカジキ、キンメダイなど)は食べる量に注意が必要ですが、ウニ・アワビ・エビ・タコなどは水銀の心配がほとんどない食材に分類されます。怖いのは「すべての魚介類が危険」なのではなく、「生のもの」と「水銀の多い大型魚」という2点に絞られると覚えておくと、日常の食事選びがぐっと楽になります。

迷ったときはかかりつけの産婦人科医や助産師さんに相談する。これが最終的に一番信頼できる答えにたどり着く近道です。インターネットの情報は参考にはなりますが、個人の体の状態や妊娠週数によっても判断が変わることがあるため、専門家のアドバイスに勝るものはありません。

「加熱済みのものを選ぶ」「大型魚の生食は週の摂取量を守る」「少しでも不安があればかかりつけ医に相談する」この3つを頭に入れておくだけで、食事の選択が格段にスムーズになります。

まとめ

妊娠中のいちご煮は、「生か加熱済みか」で判断が変わります。

生のウニや生のアワビには食中毒リスクがあるため、妊娠中は避けるのが安全です。妊娠中は免疫機能が低下しているため、普段よりも食中毒になりやすく、なってしまった場合も薬が限られるため、体への負担が大きくなりがちです。水銀については、ウニ・アワビともに特別気にするほどの含有量ではありませんが、食べすぎには注意が必要です。

一方、市販の缶詰のいちご煮は製造段階でしっかり加熱されているため、妊娠中でも楽しめます。炊き込みご飯や温めてお吸い物にするなど、加熱調理の一品として取り入れるのがおすすめです。外食でいちご煮が出てきたときは、加熱されているかどうかを事前に確認してから食べるようにしましょう。

妊娠中の食事は制限が多くて気が重くなることもありますが、「何を食べてはいけないか」より「どう食べれば安心できるか」に目を向けると、グッと気持ちが楽になります。ルールを知っておくと、食卓がちゃんと豊かでいられるんです。

妊娠サポートナビ.comには妊娠中の食事・栄養に関する記事もたくさんあります。ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。

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