授乳中に加賀(石川県)の郷土料理「べろべろ」を食べたいとき、母乳への影響が気になって手が止まることはありませんか。卵をだしで固めた素朴な一品には、授乳中にとりたいたんぱく質や鉄分が含まれています。気になりやすいのはアレルギーと塩分ですが、ポイントを押さえれば無理なく取り入れられます。この記事では、べろべろの栄養・授乳中の注意点・母乳への影響についてお伝えします。
べろべろが授乳中の体にもたらすプラスの栄養
産後・授乳中の体は、妊娠前よりも多くのたんぱく質・鉄分・カルシウムを必要とします。べろべろの主役である卵は、産後の回復と母乳づくりの両方を支える栄養素を含んでいます。
授乳中に必要なたんぱく質を手軽に補える
授乳中のたんぱく質は、通常の推奨量(50g/日)に1日あたり20gを付加した量が推奨されています(「日本人の食事摂取基準2025年版」厚生労働省)。べろべろ1人前(約100g)には、卵1〜1.5個分にあたる6〜9gのたんぱく質が含まれます。育児で忙しい産後の体に、手軽に栄養を届けてくれる食材です。たんぱく質は母乳の主な成分であるカゼインや乳清たんぱくの材料にもなるため、授乳中は毎日こまめにとりたい栄養素です。卵のアミノ酸スコアは100で、体が効率よく使える良質なたんぱく源の一つです。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
産後の貧血予防に役立つ鉄分とビタミンB12
出産時の出血や妊娠中の鉄分消費により、産後は貧血になりやすい状態が続きます。卵1個に含まれる鉄分は約0.8mgで、動物性食品由来のヘム鉄は植物性食品の非ヘム鉄よりも体への吸収率が高いことが特徴です。さらに卵に含まれるビタミンB12は、赤血球の正常な形成に欠かせない栄養素で、授乳中は1日2.8μgの摂取が推奨されています。べろべろ1人前で約0.6〜0.8μgのビタミンB12を補えるため、肉・魚と組み合わせることで貧血予防の底上げになります。
※参考:食品成分データベース(文部科学省)鶏卵・全卵・生(可食部100gあたり たんぱく質12.2g・鉄1.5mg・ビタミンB12 1.1μg)
| 栄養素 | べろべろ1人前(約100g)の目安 | 授乳中の1日推奨量・目安 |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 約6〜9g | 50g+20g(付加分)=約70g |
| 鉄分 | 約0.8〜1.3mg | 9.0mg(授乳婦) |
| ビタミンB12 | 約0.6〜0.8μg | 2.8μg(授乳婦) |
| コリン | 約125〜165mg | 日本の食事摂取基準に基準値なし |
| 食塩相当量 | 約0.8〜1.5g | 6.5g未満(目標) |
母乳を通じて赤ちゃんの発育を支えるコリン
卵黄に多く含まれるコリンは、神経伝達物質(アセチルコリン)の材料になる栄養素です。授乳中は母乳を通じて赤ちゃんへ届きます。コリンは日本の食事摂取基準では基準値が定められていませんが、卵黄はコリンを手軽にとれる食材の一つです。コリンは胎児期・乳児期の脳神経ネットワークの形成に関わることが動物研究で示されており、産後も意識してとりたい栄養素です。べろべろには卵が複数個分入ることが多く、1人前でコリンを補えます。
授乳中にべろべろを食べる際の注意点
栄養豊富なべろべろですが、授乳中に意識したいことが2点あります。卵アレルギーと塩分について、正しく理解して食べることが安心につながります。
赤ちゃんへの卵アレルギー移行について知ろう
母乳を通じて食物アレルゲン(卵たんぱくの断片)が移行し、一部の赤ちゃんにアレルギー反応が出るケースがあることが知られています。ただし、すべての授乳中のお母さんが卵を控える必要はありません。日本産科婦人科学会や日本アレルギー学会の現在のガイドラインでは、授乳中の特定食品の制限は勧められていません。赤ちゃんに湿疹・じんましん・消化器症状が続いている場合は、小児科・アレルギー科に相談のうえで食事内容を見直してください。自己判断でのアレルギー除去食は栄養不足につながることがあるため、必ず医師の指導のもとで行いましょう。
塩分が母乳や体にどう影響するか
授乳中も食塩のとりすぎは高血圧・むくみにつながることがあります。べろべろに含まれる食塩相当量は1人前(100g)あたり約0.8〜1.5gで、おせちの一品として食べるときは他の料理と合わせた1日の塩分合計に気をつけてください。塩分を多くとっても母乳自体が塩辛くなるわけではありませんが、お母さんの体への負担を減らすためにも、とりすぎは避けたいところです。手作りであれば醤油の量を減らし、昆布だしの旨味を活かすことで、物足りなさを感じにくいまま塩分を下げられます。
授乳中の卵のとりすぎはある?1日の目安を確認しよう
卵は栄養バランスに優れていますが、コレステロールが1個あたり約185〜200mgと比較的多い食品でもあります。現在の食事摂取基準ではコレステロールの目標量(上限値)は設定されていませんが、脂質全体のバランスを考えて1日1〜2個程度を目安にする考え方が一般的です。べろべろ1人前に使う卵は約1〜1.5個分であることが多いため、その日の他の食事で卵をたくさん食べているときは量を少なめにすると調整しやすくなります。
授乳中においしく安全にべろべろを楽しむ工夫
べろべろは産後の体にやさしい食材でありながら、少しの工夫で栄養価を高めつつ安全に楽しめます。日々の育児で忙しいなかでも、食事を楽しむ時間を大切にしてほしいと思います。
授乳中の体にやさしい手作りのポイント
手作りのべろべろで塩分を抑えるには、減塩醤油(通常の約60%の塩分量)を使うか、醤油の量を通常の7割に減らして昆布や干し椎茸のだしを濃くとる方法があります。砂糖の代わりに甘酒やみりんを少量使うと、甘みの中に旨味が加わり、塩分が少なくても満足しやすい味になります。昆布だしを丁寧にとると、薄味でもおいしいと感じる旨味成分(グルタミン酸)が引き立ちます。昆布は10g以下にして水出し(冷水で8時間以上)にすると、ヨウ素の溶け出しが煮出しより少なくなり、とりすぎを防ぎながら旨味を引き出せます。
産後の体にうれしい食べ合わせ
べろべろと一緒に食べると相乗効果が期待できる食材があります。ビタミンCを含む野菜(ブロッコリー・パプリカ・小松菜など)と組み合わせると、卵の鉄分(非ヘム鉄)の吸収率が上がります。また、べろべろのだしに使う昆布には水溶性食物繊維(アルギン酸)が含まれ、腸内環境を整えるはたらきが期待されます。産後は便秘に悩む方も多いため、野菜や昆布をべろべろの具に取り入れると効率よく栄養がとれます。授乳中の水分補給も忘れずに行い、母乳の量を保ちましょう。
お正月以外でも楽しめるべろべろの食べ方
べろべろはおせちのイメージが強いですが、実は年間を通じて作れる家庭料理です。冷蔵庫で2〜3日保存できるため、産後の体力が戻っていないときに多めに作り置きしておくと、育児の合間に素早く栄養補給できます。副菜として白米・お味噌汁・野菜の煮物と組み合わせると、たんぱく質・ミネラル・ビタミンのバランスが整った授乳中向きの献立になります。食欲が落ちやすい暑い季節は冷たいまま食べてもおいしく、卵料理のなかでは食べやすい一品です。
まとめ:授乳中のべろべろはアレルギーと塩分に気をつけながら上手に活用しよう
べろべろは授乳中の体に必要なたんぱく質・鉄分・ビタミンB12を含む、栄養価の高い伝統料理です。赤ちゃんへの卵アレルギー移行については、現行のガイドラインで一律の制限は勧められていませんが、湿疹や消化器症状が気になる場合は医師に相談してください。
特に気をつけたいのは塩分です。1人前あたり最大1.5gの食塩相当量を含むため、同じ日の食事全体の塩分量を6.5g未満に抑えることを意識してみてください。手作りであれば醤油を減らして旨味だしを活かすことで、満足感を保ちながら塩分を下げられます。産後の疲れた体を支えながら、伝統の味を楽しむ食事時間を大切にしてください。
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