石川・加賀地方の伝統的なおせち料理「べろべろ」が食べたくなったとき、妊娠中は食べて大丈夫なのかと気になるところです。卵をベースにしただし風味の加賀料理は、妊婦さんにうれしい栄養素を含んでいます。気になるのは醤油やだしに由来する塩分で、妊娠中の食塩のめやすとうまく折り合いをつけることが大切です。この記事では、べろべろの食材・栄養・注意点から塩分を抑えて楽しむコツまで、順番にお伝えします。
べろべろとはどんな料理?石川・加賀の食文化と栄養を知ろう
べろべろは、お正月のおせちとして加賀(石川県南部)に古くから伝わる郷土料理です。プルプルとした食感と甘じょっぱいだし風味が特徴で、地域によっては「えびすかっちゃ」とも呼ばれています。まずは、その成り立ちと栄養を確認しておきましょう。
加賀のおせちに欠かせない卵とだしの郷土料理
べろべろの基本的な作り方は、溶き卵に昆布だしや鰹だし・醤油・みりん・砂糖を合わせ、弱火でゆっくり固めるというシンプルなものです。寒天や葛を使って固める家庭もあり、出来上がりはプリンと寒天の中間のような独特の食感になります。加賀地方では年始のお祝い膳に欠かせない一品として、受け継がれてきました。金沢や小松では今も家庭ごとに味付けが少しずつ異なり、醤油を少なめにして甘みを強くしたものや、れんこん・にんじんを加えて彩りを添えたものなど、いろいろな作り方があります。
べろべろに含まれる主な栄養素一覧
べろべろの主な材料は卵のため、卵の栄養素をそのままとれます。卵には良質なたんぱく質が1個あたり約6.1g含まれ、必須アミノ酸のバランスがよい食材です。さらにビタミンA・D・E・B群・葉酸・鉄・亜鉛など、妊娠中にとりたい栄養素を幅広く含みます。だしに使う昆布はヨウ素(ヨード)を含むため、とりすぎには注意が必要ですが、通常の調理量であれば過度に心配する必要はありません。栄養の推奨量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によります。
| 栄養素 | べろべろ1人前(約100g)のめやす | 妊娠中の推奨量・めやす |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 約6〜7g | 50g+付加(後期+25g) |
| 鉄 | 約0.9〜1.2mg | 中期以降は付加あり |
| 葉酸 | 約22〜30μg | 480μg(付加含む) |
| 食塩相当量 | 約0.8〜1.5g | 6.5g未満(成人女性目標) |
| ビタミンA | 約50〜80μgRAE | 650〜730μgRAE(上限3,000μgRAE) |
妊婦さんにうれしい成分が含まれている
卵に含まれるコリンは、赤ちゃんの脳や神経の発達に関わるとされる栄養素です。コリンは卵に多く含まれ、妊娠中の食事から取り入れやすい成分です。また卵黄に含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、赤ちゃんの骨の形成を支えます。べろべろのだしに使う昆布はミネラルを含みますが、ヨウ素のとりすぎには注意が必要です。妊娠中のヨウ素の耐容上限量は1日2,000μg(2mg)とされているため、だしの量は通常の料理と同じくらいにとどめるとよいでしょう。べろべろ1人前程度であれば、ヨウ素のとりすぎになることは通常ありません。
妊娠中に気をつけたいべろべろの注意点
べろべろは栄養を含む一方で、妊娠中に意識しておきたいポイントがいくつかあります。食べ方をひと工夫するだけで安心して楽しめるので、確認しておきましょう。
いちばん気をつけたい塩分とナトリウム
べろべろに使う醤油・みりん・だしには塩分が含まれ、作り方や分量によって1人前あたり0.8〜1.5gの食塩相当量になることがあります。妊娠中に食塩をとりすぎると、妊娠高血圧症候群のリスクが高まると指摘されています。成人女性の1日の食塩目標は6.5g未満(厚生労働省)ですが、おせちは塩分が高い料理が多いため、べろべろを食べる日は他の食事でも塩分に気を配ることが大切です。市販のべろべろや加工品は手作りよりも塩分が高い傾向があるため、食品表示の食塩相当量を確認する習慣をつけましょう。
卵の加熱と食中毒について
妊娠中に生卵・半熟卵を食べることは、サルモネラ菌による食中毒のリスクがあるため避けることがすすめられています。べろべろは卵を加熱して固めた料理のため、中心部までしっかり加熱したべろべろは生卵のリスクがなく、妊娠中でも食べられます。ただし手作りする際は、「半固まり」「生っぽい部分が残る」状態にならないよう、全体が均一に固まるまで火を通すことが大切です。固めた後は速やかに冷蔵庫で保存し、作ってから2日以内に食べきりましょう。
市販品・手作り・外食での塩分量の違い
手作りのべろべろは醤油やみりんの量を自分で調整できるため、塩分を抑えやすいのが利点です。一方、百貨店やスーパーで販売されるおせち用のべろべろや総菜は、保存性を高めるために塩分が多めのことがあります。石川県内の郷土料理店や旅館で出されるものも、家庭の味付けより濃いことがあるため、食べる量を半量程度に抑えるか、他の料理の塩分を少なめにすると調整できます。
妊娠中でもおいしく食べるための工夫
べろべろは材料と調理法を少し工夫するだけで、塩分を抑えながら風味を保てます。安心して食卓に並べるためのポイントをお伝えします。
塩分を抑えたべろべろの作り方のポイント
塩分を抑えるには、醤油の量を通常の6〜7割に減らし、代わりに昆布や干し椎茸を使ったうま味の強いだしを使うのが向いています。昆布だしにはうま味成分(グルタミン酸)が多く、塩分が少なくても満足感のある味わいになります。みりんの代わりに少量のてんさい糖や甘酒を使うと、甘みを出しながら塩分を抑えられます。酢を少量加えると塩辛さを感じにくくなり、「薄味なのに物足りない」という感覚を減らせます。また、卵は新鮮なものを使い、Sサイズ(50g前後)よりMサイズ(60g前後)を使うと、同じ体積でもたんぱく質や鉄を多くとれます。
1回に食べる適量と頻度のめやす
べろべろは1回のめやすとして100g(卵1〜1.5個分相当)程度が食べやすい量です。おせちの一品として他の料理と一緒に食べる場合は、半量の50g程度でも栄養をとれます。食べる頻度は、おせちの時期(お正月1〜3日)に集中して食べることが多い料理のため、1日1回程度であれば塩分・カロリーともに気になりにくくなります。ただし同じ日に数の子・田作り・黒豆など塩分や糖分の高いおせちを複数食べる場合は、べろべろの量を少量にとどめて全体の塩分バランスを整えてください。
おせちに取り入れるときの献立バランス
べろべろをおせちに加えるときは、塩分の多い煮しめ・伊達巻・かまぼこなどと重なりすぎないよう、献立全体を見渡すことが大切です。お雑煮のだしも塩分を含むため、元旦の朝は特に意識してバランスをとりましょう。べろべろには野菜(にんじん・さやいんげん・れんこんなど)を加えると彩りが増し、食物繊維やビタミンも補えるため、妊娠中の便秘対策にも役立ちます。昆布だしに含まれるヨウ素は、妊娠中の耐容上限量1日2,000μg(2mg)を超えないよう、昆布の使用量を控えめにするのが安心です。
まとめ|妊娠中のべろべろは塩分を意識すれば楽しめる
加賀の伝統的な郷土料理・べろべろは、しっかり加熱した卵を使う料理のため、調理法によって生卵・半熟卵のリスクを避けられます。卵由来のたんぱく質・鉄・ビタミン・コリンなど、妊娠中にとりたい栄養素を含み、適切な量を食べることで母体と赤ちゃんの栄養補給に役立ちます。気をつけたいのは醤油・みりん・だしに由来する塩分です。1人前あたり最大1.5g程度になることを意識し、同じ日の食事全体で塩分が6.5g未満に収まるよう調整しましょう。
手作りであれば、醤油を減らしてうま味だしを利かせることで、塩分を抑えながらも満足感のある味に仕上がります。市販品や外食の場合は、量を半量程度に抑えるか、他の塩分の高い料理を少なくするなどして調整しましょう。おせちの時期はいろいろな料理が重なるからこそ、一品ずつの量と塩分を意識することが、妊娠中の体を守るために役立ちます。
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