お正月のおせちや帰省先の食卓に、フナの甘露煮が並ぶことがあります。骨まで丸ごと食べられる小魚の甘露煮は、カルシウムを含む日本の伝統食です。妊娠中に食べていいのか、気になるところです。
川魚だから水銀が心配、甘辛い味付けで糖分や塩分が高そう――そんな疑問を持つ方も多いはずです。
フナの甘露煮は、妊娠中でも少量なら無理なく楽しめます。フナは水銀の心配が少ない魚で、骨ごと食べることでカルシウムもとれる食材です。気をつけたいのは、甘辛いたれからくる塩分と糖分です。
この記事では、フナの栄養成分・水銀の考え方・甘露煮の塩分と糖分・妊娠中の上手な食べ方まで、順番にお伝えします。
フナの甘露煮ってどんな料理?川魚の魅力と文化背景
フナの甘露煮は、フナ(鮒)を醤油・砂糖・みりんなどの甘辛いたれで長時間じっくり煮込んだ料理です。骨まで柔らかくなるように時間をかけて煮上げるため、頭から尻尾まで丸ごと食べられます。農林水産省「うちの郷土料理」でも小鮒の甘露煮(長野県)として掲載されている、内陸の食文化に根づいた料理です。
骨まで食べられることから、カルシウムのとれる食材として昔から親しまれてきました。お正月の縁起物として、また日持ちの良い保存食として、各地の食卓に並んできた伝統料理です。
フナという魚の栄養成分を確認しよう
フナは淡水にすむ川魚です。コイに比べて脂肪が少なく、たんぱく質を含む低カロリーの食材として知られています。栄養値の出典は食品成分データベース(文部科学省・ふな 生)です。
| 栄養素 | 含有量(生・100gあたり) |
|---|---|
| たんぱく質 | 約18.2g |
| カルシウム | 約100mg |
| 鉄 | 約1.5mg |
| カリウム | 約340mg |
| ビタミンB1 | 約0.55mg |
| ビタミンB12 | 約5.5μg |
| ビタミンD | 約4.0μg |
ビタミンB1の量は魚のなかでも多いほうで、エネルギー代謝を支える栄養素です。妊娠中は体が使うエネルギーが増えるため、ビタミンB1を含む食材はうれしいものです。
さらに甘露煮にすると骨まで柔らかくなり、生のときよりずっと多くのカルシウムをとれます。文部科学省の成分表では、ふな甘露煮のカルシウムは100gあたり約1200mgとされています。
骨ごと食べるフナ甘露煮はカルシウム補給に役立つ
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、妊娠中のカルシウム推奨量は1日650mgです。日本人女性の実際のとる量は目標に届いていないことが多いといわれています。
フナの甘露煮は骨ごと食べられるため、小魚のなかでもカルシウムをとりやすい食品です。農林水産省も、骨ごと食べられる小魚をカルシウムの多い食品として紹介しています。妊娠中のカルシウム不足が気になる方にとって、選びやすいおせちのひとつです。
DHA・EPA、そして水銀の心配は?
フナはDHA・EPAも含んでいます。赤ちゃんの脳や神経の発達に関わるDHAは、妊娠中からとりたい栄養素です。
水銀については、フナは心配の少ない魚です。厚生労働省が妊婦向けに注意を呼びかけている魚は、食物連鎖の上位にいる大型魚や深海魚(サメ・メカジキ・クロマグロなど)です。フナのような淡水魚は、この注意の対象には含まれていません。
※参考:妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項(厚生労働省)
甘露煮の塩分・糖分、妊娠中の体への影響
フナという魚そのものは心配が少ないのですが、甘露煮という調理法には気をつけたい点があります。醤油・砂糖・みりんをたっぷり使って長く煮込むため、塩分も糖分も高くなります。
甘露煮の塩分はどれくらい?
文部科学省の成分表によると、ふな甘露煮の食塩相当量は100gあたり約3.3gです。甘露煮を数切れ食べると、他の食事と合わせて1日の塩分がふくらみやすくなります。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、妊婦の1日の食塩の目標量は6.5g未満です。お正月に他の塩分の多いおせちと重なる日は、フナの甘露煮の量を意識して控えめにしてください。
甘露煮の糖分と妊娠糖尿病について
甘露煮は砂糖やみりんを多く使うため、糖質が比較的高い料理です。文部科学省の成分表でも、ふな甘露煮の炭水化物は100gあたり約44gとされています。妊娠中はホルモンの影響でインスリンが働きにくくなり、血糖値が上がりやすい時期です。
妊娠糖尿病は自覚しにくいため、糖質の多い食品を一度にたくさん食べないよう気をつけましょう。甘露煮も、少量をゆっくり楽しむ食べ方が向いています。
妊娠高血圧症候群と塩分コントロール
妊娠中の塩分が気になる理由のひとつが、妊娠高血圧症候群です。塩分の多い食事が習慣になると血圧が上がりやすくなり、妊娠の後半に影響が出ることがあります。塩分が直接の原因ではありませんが、高塩分の習慣はリスク要因のひとつとされています。
もともと血圧が高め、むくみが出やすいという方は、甘露煮の塩分に気をつけながら量を調整してください。
妊娠中にフナの甘露煮を楽しむための工夫
栄養があり骨のカルシウムもとれるフナの甘露煮は、量を意識すれば妊娠中でも楽しめます。
食べる量と頻度のめやす
妊娠中にフナの甘露煮を食べる場合は、1回あたり2〜3切れがめやすです。骨まで食べるとカルシウムはとれますが、そのぶん塩分や糖分も増えるため、量は控えめにしましょう。
お正月の行事食として食べる日は、他のおせちとの全体のバランスを意識してください。
| 場面 | 食べ方のめやす |
|---|---|
| お正月のおせち | 2〜3切れ(他の料理は薄味に調整) |
| 行事の席での一品 | 少量をゆっくり楽しむ |
| 毎日の常備菜 | 避ける(塩分・糖分が積み重なりやすい) |
カルシウムを活かす食べ方のコツ
フナの甘露煮のカルシウムをしっかり吸収するには、ビタミンDとの組み合わせが向いています。フナ自体にもビタミンDが含まれていますが、日光を浴びることや、ビタミンDを含むきのこ類と一緒にとることで吸収を助けられます。
またカルシウムは、ほうれん草などに含まれるシュウ酸と一緒にとると吸収が妨げられることがあります。ほうれん草はゆでるとシュウ酸が減るため、おひたしなどにして組み合わせるとよいでしょう。
食べた後の水分補給を忘れずに
甘露煮の後は、塩分と糖分をためこまないよう水分補給を意識しましょう。白湯・麦茶・ノンカフェインのお茶をこまめに飲むと、体の余分なナトリウムを出す助けになります。
妊娠中は脱水にも気をつけたい時期です。冬のお正月は空気が乾きやすいため、こまめな水分補給を心がけてください。暖房の効いた室内やこたつ・ストーブの近くでは、体の水分が失われやすくなります。帰省中は生活の環境が変わりやすいので、自分のペースで水を飲む習慣を続けましょう。体が重いと感じたら、水分と塩分の両方を見直してみてください。
まとめ|フナの甘露煮は骨のカルシウムと塩分・糖分の両方を意識して楽しもう
妊娠中のフナの甘露煮は、少量であれば過度に心配する必要はありません。フナは水銀の心配が少なく、厚生労働省の妊婦向けの注意対象にも含まれていません。骨ごと食べることでカルシウムをとりやすく、たんぱく質・ビタミンB1・B12なども含まれています。
気をつけたいのは、甘露煮という調理法からくる塩分と糖分です。食塩相当量は100gあたり約3.3gと高めで、お正月のおせちと重なると塩分が積み重なりやすくなります。2〜3切れをめやすに量を抑え、カリウムを含む野菜と組み合わせ、食後の水分補給を意識してください。
妊娠中のカルシウム不足が気になる方にとって、骨ごと食べられるフナの甘露煮は取り入れやすい食材です。量を意識すれば、栄養補給と食の楽しみを両立できます。
フナの甘露煮は、内陸の地域で先人たちが積み重ねてきた食の知恵です。お正月という特別な時間に少量を楽しむことで、栄養と食文化の両方を感じてみてください。
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