出産を終えてほっと一息つく間もなく、授乳期に入ると今度は食べ物のことが気になり始めます。年末年始の帰省先で、大好きないかにんじんが食卓に並んでいたとき「授乳中でも食べられるのかな」と迷ったことはありませんか。
するめを使った塩辛い料理だから乳腺炎になりそう、塩分が多くて母乳への影響が心配――そんな声をよく聞きます。ただ、それぞれの心配の根拠をひとつずつ整理すると、どこまで気をつければよいかが見えてきます。
授乳中でも、いかにんじんは少量なら無理なく楽しめます。するめは乾燥加工品でリスクの低い食材ですし、塩分も量を意識すれば調整できます。正しい情報を知って、食べたいものを上手に楽しみましょう。
この記事では、いかにんじんの原材料と授乳中への影響・塩分の考え方・乳腺炎と食事の関係・上手な食べ方まで、順番にお伝えします。
いかにんじんのするめ、授乳中に食べて大丈夫?
福島県の郷土料理であるいかにんじんは、するめ(乾燥イカ)とにんじんを醤油・みりん・ざらめなどの甘辛だれに漬け込んだ保存食です。農林水産省「うちの郷土料理」にも掲載されている、地域の食文化を代表する一品です。
授乳中のママがまず気になるのは「するめ」という食材の安全性ではないでしょうか。
するめと生イカの違い|アニサキスリスクについて
生のイカで問題になるアニサキスは、乾燥加工品であるするめでは大きくリスクが下がります。するめは乾燥などの製造工程を経るため、生イカとは条件が異なります。
また、授乳中は妊娠中よりも食事の制限が少ない時期です。厚生労働省が示す魚介類の水銀に関する注意事項も妊婦向けのもので、授乳中は対象になっていません。
なお、「するめを食べると流産する」という俗説を妊娠中に聞いて、授乳中も気にしてしまう方がいるかもしれません。この俗説には医学的な根拠がないことがわかっています。塩分が多い点にだけ気をつければ、食材そのものを避ける必要はありません。
するめの栄養素と授乳期の体への働き
するめは水分が抜けているぶん、栄養素がぎゅっと凝縮されています。たんぱく質は100gあたり約69.2gと食品のなかでもかなり高く、タウリンやDHA・EPAも含まれています。栄養値の出典は食品成分データベース(文部科学省)です。
| 栄養素 | 授乳期への働き |
|---|---|
| たんぱく質(100gあたり約69.2g) | 母乳をつくる材料になり、産後の体の回復も支える |
| タウリン | 肝臓の働きを支える |
| DHA・EPA | 母乳を通じて赤ちゃんに届く脂肪酸 |
いかにんじん1食に使われるするめはごく少量です。栄養源として期待しすぎるのではなく、良質なたんぱく質を含む食材のひとつとして、食感と旨みを楽しむのが向いています。
にんじんのβ-カロテンと授乳期
にんじんに含まれるβ-カロテンは、体の中でビタミンAに変わります。食品由来のβ-カロテンは必要な分だけ変換される仕組みのため、とりすぎの心配は少ないとされています。
ビタミンAは、免疫の働きや皮膚・粘膜の健康に関わる栄養素です。いかにんじんのにんじんは、授乳期にもむしろ取り入れやすい食材といえます。
授乳中のいかにんじん、塩分はどう考える?
いかにんじんで気をつけたいのは塩分です。醤油・みりんをベースにした甘辛だれに漬け込むため、見た目の割に塩分が高くなりやすい料理です。
1人前の塩分量と1日の目標量の関係
家庭のレシピによって幅はありますが、1人前(約50g)の食塩相当量はおよそ1g、たれをよく吸ったものでは2g近くになる場合もあります。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、授乳婦の食塩の目標量は成人女性と同じ1日6.5g未満です。
副菜ひと品で1日の目標量の2〜3割をとる計算になることもあります。お正月料理と一緒にいただく場面では他のおかずの塩分も加わるため、食卓全体で塩分が増えやすい点に気をつけてください。
塩分過多が授乳中の体に与える影響
産後は血圧が変わりやすく、体もむくみやすい時期です。塩分の多い食事が続くと、むくみが取れにくくなったり、体が重く感じられたりすることがあります。
母乳の塩分濃度は、ママの食事に関わらず体がほぼ一定に保つ仕組みになっています。塩分に気をつけたいのは赤ちゃんのためというより、ママ自身のむくみや血圧のためです。授乳期も引き続き、塩分は意識したいテーマです。
「乳腺炎になる」という心配は?
「塩辛いものや脂っこいものを食べると乳腺炎になる」という話を聞いたことがある方も多いはずです。ただ、現在の医学的な見解では、特定の食事と乳腺炎の直接的な因果関係は明確に示されていません。乳腺炎の主な原因は、授乳の仕方・乳腺の詰まり・細菌感染などとされています。
いかにんじんの塩分や旨み成分が直接乳腺炎を引き起こすという根拠はありません。食べすぎには気をつけつつ、少量であれば乳腺炎を心配して我慢しなくてもよい食べ物です。
授乳中に上手にいかにんじんを楽しむコツ
お正月やハレの日に食べたいものを少しずつ楽しむことは、授乳中の気持ちの面でも大切です。量と食べ合わせのめやすを知っておくと、食事を楽しみやすくなります。
食べる量と頻度のめやす
授乳中にいかにんじんを食べる場合は、1回あたり大さじ2〜3杯(約30〜40g)がめやすです。お正月の箸休めとして少量をいただく食べ方なら、塩分のとりすぎにはなりにくい量です。
毎日食べることや一度にたくさん食べることは避けて、行事のときに少量楽しむ食べ方が向いています。
| 食べ方 | 塩分の面 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 大さじ2〜3杯を行事のときのみ | とりすぎになりにくい | ◎ |
| 毎日少量(大さじ1〜2) | 積み重なると中程度 | △ |
| 一度にたっぷり(お皿一杯) | 多くなりやすい | × |
塩分バランスを整える食べ合わせ
いかにんじんを食べる日は、他のおかずの塩分を控えるのがコツです。味噌汁を薄味にする・漬物を別の日にする・醤油の量を減らす、といった工夫で1日の塩分トータルを調整できます。
また、カリウムを含む野菜を意識して取り入れると、ナトリウムの排出を助けられます。
授乳中の水分補給もしっかりと
授乳中は母乳をつくるために、ふだんより多くの水分が必要です。塩分の多い食事のあとは、特に意識して水分をとりましょう。
飲み物は麦茶・白湯・ルイボスティーなど、ノンカフェインのものがおすすめです。カフェインは母乳を通じて赤ちゃんに移ることがあるため、コーヒーや濃い緑茶は控えめにしてください。
年末年始は暖房の効いた室内で空気が乾きやすく、のどの渇きにも気づきにくい時期です。のどが渇いてからではなく、授乳のたびにコップ一杯の水や麦茶を飲む習慣にすると、水分不足を防ぎやすくなります。いかにんじんを食べた日は、いつもより一杯多めを心がけてみてください。
まとめ|いかにんじんは授乳中でも少量なら楽しめる福島の味
授乳中のいかにんじんは、少量であれば過度に心配する必要はありません。するめ(乾燥イカ)は乾燥加工品のため、生イカで問題となるアニサキスのリスクは低い食材です。たんぱく質やタウリンなど、授乳期の体を支える栄養素も含まれています。
特に気をつけたいのは塩分です。1人前(約50g)で食塩相当量が1〜2g程度になることもあり、授乳婦の1日の目標量(6.5g未満)の2〜3割にあたります。大さじ2〜3杯程度をめやすに、行事の箸休めとして少量楽しむ食べ方が向いています。
食事と乳腺炎の直接的な因果関係は医学的に明確ではなく、少量のいかにんじんで乳腺炎になるという根拠もありません。量と食べ合わせを意識すれば、授乳中でも大切な郷土の味を楽しめます。
福島のいかにんじんは、数日かけてじっくり漬け込むことで旨みが増す保存食です。授乳中のママが食の楽しみを失わずに過ごすことは、毎日を穏やかに乗り切る力にもなります。量を意識しながら、家族との食卓を楽しんでください。
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