富山・石川の郷土食として知られる「五箇山豆腐」。縄で縛っても崩れないほど硬く、ふつうの豆腐とはまったく違う食感が特徴です。
旅行や帰省のお土産に手に入れたとき、「妊娠中に食べても大丈夫かな」と思ったプレママもいるのではないでしょうか。
五箇山豆腐は水分が少なく大豆の成分が凝縮されていて、たんぱく質・カルシウム・鉄などがふつうの豆腐より多めです。妊娠中にうれしい栄養素を含む食品ですが、大豆イソフラボンの量には少し気をつけたいところです。
この記事では、五箇山豆腐の特徴から妊娠中の食べ方まで、順番にお伝えします。
五箇山豆腐とはどんな豆腐?
富山県南砺市の五箇山地域(岐阜県白川郷とともに世界遺産に登録された合掌造りの集落地域)で作られてきた伝統的な豆腐です。その硬さと栄養の豊かさが、妊娠中にも取り入れやすい食材として知られています。
五箇山豆腐の特徴と製造方法
五箇山豆腐のいちばんの特徴は、その硬さです。重石(おもし)で長い時間しっかり圧搾して水分を抜くため、「縄で縛って持ち運べる」とも語られるほどです。
作り方は基本的に木綿豆腐と同じですが、圧搾の時間が長く、より多くの水分を抜きます。その結果、100gあたりの大豆固形分が多くなり、たんぱく質・脂質・ミネラルなどの栄養素がふつうの木綿豆腐より凝縮されています。
地元の湧き水を使った伝統的な製法で作られるものも多く、豆腐本来の味わいが濃く感じられます。冬の寒さのなかで受け継がれてきた食品で、保存性が高く長持ちする点も五箇山の暮らしに合った豆腐です。
通常の豆腐との栄養比較
五箇山豆腐(堅豆腐)とふつうの木綿豆腐の栄養成分を比べてみましょう。水分量が少ないため、同じ100gでも栄養素の量が変わります。木綿豆腐の数値の出典は食品成分データベース(文部科学省・木綿豆腐)で、五箇山豆腐の値は水分量からのめやすです。
| 栄養素 | 木綿豆腐(100g) | 五箇山豆腐相当(100gめやす) |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 7.0g | 10〜12g |
| カルシウム | 93mg | 150〜200mg |
| 鉄 | 1.5mg | 2〜3mg |
| 大豆イソフラボン | 約24mg | 約35〜50mg |
| エネルギー | 73kcal | 110〜130kcal |
このように、五箇山豆腐はふつうの木綿豆腐に比べて、たんぱく質・カルシウム・鉄がおよそ1.5〜2倍ほど含まれると考えられます。そのぶんイソフラボンの量も増えるため、食べる量を意識するとよいでしょう。
妊娠中にうれしい大豆の栄養素
大豆製品である五箇山豆腐には、妊娠中にとりたい栄養素が含まれています。
たんぱく質は赤ちゃんの体をつくる材料として妊娠期間を通じて必要で、植物性たんぱく質の五箇山豆腐は、動物性食品が食べにくいプレママにも取り入れやすい食材です。
カルシウムは赤ちゃんの骨や歯の形成に使われるミネラルです。妊娠中のカルシウムは食事からとるのが基本で、乳製品が苦手な場合は豆腐などの大豆製品が助けになります。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、妊娠中のカルシウム推奨量は1日650mgとされています。
また、大豆に含まれる鉄は非ヘム鉄(植物性の鉄)ですが、ビタミンCと一緒に食べると吸収を助けられます。妊娠中の貧血対策として、五箇山豆腐をビタミンCの多い野菜と組み合わせて食べるとよいでしょう。
妊娠中に五箇山豆腐を食べるメリットと注意点
五箇山豆腐の栄養を活かしながら、妊娠中に気をつけたいポイントも知っておきましょう。
たんぱく質・カルシウムが凝縮された食品
妊娠中に必要なたんぱく質は、時期によってふだんより多くなります。動物性たんぱく質(肉・魚・卵)をたくさんとることが難しい場合、植物性たんぱく質の代表である豆腐は取り入れやすい食材です。
五箇山豆腐は同じ量でもふつうの豆腐より多くのたんぱく質を含むため、少量でたんぱく質をとりたいときに向いた食品です。食欲が落ちやすい妊娠初期にも、少量の五箇山豆腐でたんぱく質を補えます。
カルシウムも同様で、妊娠中の推奨量1日650mgを満たすには、ふつうの豆腐だけでは足りないことがあります。乳製品(牛乳・ヨーグルト)や小魚と組み合わせながら、五箇山豆腐も取り入れると目標量に近づきやすくなります。
植物性たんぱく質としての活用法
五箇山豆腐は、植物性たんぱく質として取り入れやすい食材です。妊娠中の食事で肉・魚に食べ飽きたとき、または脂質を控えたいときに、豆腐は使いやすい食材です。
植物性たんぱく質は動物性に比べて飽和脂肪酸が少なく、コレステロールを含みません。妊娠中のコレステロールや体重が気になる場合、五箇山豆腐は取り入れやすい食材です。
硬くて崩れにくく扱いやすい点も、料理での使い道を広げます。ステーキ状に切って焼く・厚めに切って揚げ出し豆腐にする・薄切りにして炒め物に加えるなど、いろいろな調理法で楽しめます。
注意したいイソフラボンの量
大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモン(エストロゲン)と構造が似た植物性の成分です。適量なら心配は少ないですが、とりすぎには少し注意したい成分です。
食品安全委員会は、大豆イソフラボンのアグリコン換算で1日70〜75mgを、長期にわたる摂取のめやすの上限としています。これは、サプリメントや特定保健用食品などで上乗せする場合に特に意識したい値で、上乗せ分の上限は1日30mgとされています。昔から食べられてきた大豆食品を、ふだんの食事の範囲で食べる分には過度に心配する必要はありません。
五箇山豆腐1食分(約80〜100g)に含まれるイソフラボンは、およそ30〜50mg程度と考えられます。五箇山豆腐1食分であれば上限には届きませんが、同じ日に豆腐・豆乳・納豆などを大量に重ねて食べると、合計が増えることがあります。1日の大豆製品全体の量を意識しておくとよいでしょう。
妊娠中の五箇山豆腐、上手な食べ方
五箇山豆腐の特徴と注意点を踏まえて、妊娠中の取り入れ方をお伝えします。
1日の適量と食べ方のポイント
妊娠中に五箇山豆腐を食べる場合のめやすは、1食あたり80〜100g(ふつうの豆腐で1/3丁程度)です。この量であれば大豆イソフラボンの量も収まりやすく、たんぱく質やカルシウムを取り入れられます。
週に3〜5回程度、主菜の一品や副菜として取り入れるのが無理のない使い方です。他の大豆製品(豆乳・納豆など)と重なる日は五箇山豆腐の量を減らし、大豆製品の合計を調整しましょう。
五箇山豆腐は硬さがあるため、自然とよく噛んでゆっくり食べることになります。ゆっくり食べることは、血糖値の急な上昇をゆるやかにするうえでも妊娠中に向いた食べ方です。
普通の豆腐との使い分け
五箇山豆腐とふつうの木綿豆腐では、向いている料理が変わります。それぞれの特徴を活かした使い分けを知っておくと便利です。
五箇山豆腐は、形が崩れては困る料理で活躍します。豆腐ステーキ・田楽・炒め物・おでんなど、豆腐の形をしっかり保って食べる料理に向いています。硬いため、揚げ出し豆腐にしても食べ応えがあります。
ふつうの木綿豆腐や絹ごし豆腐は、冷ややっこ・汁物などに向いています。五箇山豆腐との使い分けを意識すると、料理の幅が広がります。
妊娠中に食べやすい調理法
五箇山豆腐の妊娠中に食べやすい調理法として、まず「豆腐ステーキ」があります。1cm厚さに切ってフライパンで両面をこんがり焼き、おろしショウガ・ポン酢をかけるだけで、たんぱく質をとれる一品になります。
「田楽」は五箇山豆腐の食感を活かした伝統的な食べ方です。厚めに切った豆腐を串に刺して焼き、みそだれをかけます。甘めの白みそだれにすると、塩分を抑えながら満足感を得やすくなります。
炒め物では、しっかりした食感の五箇山豆腐は崩れにくいため、チャンプルー(豆腐と野菜の炒め物)など高温で炒める料理に向いています。ニラ・卵・にんじんなどと炒め合わせると、たんぱく質・葉酸・ビタミン類を一度にとれる一皿になります。
まとめ|五箇山豆腐はイソフラボンの量を意識すれば妊娠中も取り入れやすい
五箇山豆腐は、妊娠中に取り入れやすい食品のひとつです。ふつうの木綿豆腐よりも水分が少なく大豆の成分が凝縮されているため、少量でたんぱく質・カルシウム・鉄などをとりやすくなります。
気をつけたいのは大豆イソフラボンの量です。1食分(80〜100g)であれば過度に心配する必要はありませんが、他の大豆製品を同じ日に大量に食べる場合は、全体の量を意識して調整してください。
硬い食感を活かした豆腐ステーキ・田楽・チャンプルーなど、いろいろな調理法で楽しめます。食欲が落ちやすい妊娠期に、少量でしっかり栄養をとりたいときの一品として、五箇山豆腐を取り入れてみてください。
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