骨まで丸ごと食べられるフナの甘露煮は、カルシウムを含む日本の伝統食として各地で親しまれてきました。授乳期のママが「これ食べても大丈夫かな」と感じるのは、甘辛い味付けや川魚という点が気になるからではないでしょうか。
乳腺炎になるかも、糖分が多いから母乳に影響するかも、川魚の水銀が心配――そんな不安が重なって、食べるのをためらってしまう方もいるかもしれません。
授乳中でも、フナの甘露煮は少量なら無理なく楽しめます。フナは水銀の心配が少ない川魚で、骨ごと食べることでカルシウムもとれます。気をつけたいのは、甘辛い甘露煮の塩分と糖分です。
この記事では、授乳中のフナの甘露煮について、水銀・カルシウム・塩分・糖分という4つの視点から順番に整理します。
フナという川魚、授乳中でも食べられる?
フナ(鮒)は池や川などの淡水にすむ魚で、コイの仲間です。昔から食用として親しまれ、長野県・茨城県など内陸部を中心に、甘露煮・洗い・うま煮などいろいろな料理に使われてきました。
授乳中に魚を食べるとき気になるのが水銀です。妊娠中は厚生労働省の注意事項がありますが、授乳中はどうでしょうか。
フナの水銀は心配の少ないレベル
厚生労働省が妊婦向けに示している「魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」で対象になっているのは、サメ・メカジキ・クロマグロ・キンメダイなど、食物連鎖の上位にいる大型魚や深海魚です。フナのような淡水魚は、この注意の対象には含まれていません。
※参考:妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項(厚生労働省)
さらに授乳中は、妊娠中よりも魚介類に関する注意がゆるやかです。授乳中に魚を食べても、母乳を通じて赤ちゃんが受け取る水銀はごくわずかと考えられています。
フナの栄養素は授乳期ママの体を支える
フナは低脂肪でたんぱく質を含む淡水魚です。授乳期にうれしい栄養素がいくつも含まれています。栄養値の出典は食品成分データベース(文部科学省・ふな 生)です。
| 栄養素 | 含有量(生・100gあたり) | 授乳期での働き |
|---|---|---|
| たんぱく質 | 約18.2g | 母乳をつくる材料・産後の体の回復を支える |
| カルシウム | 約100mg(骨ごとでさらに増加) | 骨や歯の健康を支える |
| ビタミンB1 | 約0.55mg | エネルギー代謝を支える |
| ビタミンB12 | 約5.5μg | 赤血球づくりや神経の働きに関わる |
| DHA・EPA | 含有 | 母乳を通じて赤ちゃんに届く脂肪酸 |
産後は体の回復と毎日の授乳で疲れやすい時期です。ビタミンB1はエネルギー代謝に関わる栄養素で、フナはこの点でもうれしい食材です。
甘露煮で骨まで食べるとカルシウムが増える
フナの甘露煮のよいところは、骨まで柔らかく煮上げて丸ごと食べられる点です。文部科学省の成分表では、ふな甘露煮のカルシウムは100gあたり約1200mgとされ、生のとき(約100mg)よりも大きく増えています。
授乳中はカルシウムを多く使う時期でもあるため、骨ごと食べられる甘露煮はカルシウムをとりやすい食べ方です。農林水産省も、骨ごと食べられる小魚をカルシウムの多い食品として紹介しています。
甘露煮の塩分と糖分、授乳中はどう考える?
フナという魚そのものは心配が少ないのですが、甘露煮という調理法には気をつけたい点があります。醤油・砂糖・みりんを使って長く煮込むため、塩分も糖分も高くなります。
甘露煮の塩分量と授乳婦の目標値
文部科学省の成分表によると、ふな甘露煮の食塩相当量は100gあたり約3.3gです。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、授乳婦の食塩の目標量は1日6.5g未満(成人女性と同じ)です。
産後は血圧が変わりやすく、むくみも出やすい時期です。塩分の多い食事が続くとむくみが取れにくくなるため、量を意識してください。お正月の食卓は塩分の高い料理が集まりがちです。数の子・黒豆・お雑煮・田作りなど一品ずつの塩分が積み重なるため、甘露煮だけでなくお正月全体で塩分を見ていく意識が役立ちます。
甘辛い煮物と母乳の関係
「甘いものを食べると母乳の質が落ちる」「濃い味のものを食べると母乳がしょっぱくなる」という話を聞くことがあります。ただ、現在の医学的な見解では、ふだんの食事の範囲の食品が母乳の成分を大きく変えることは少なく、母乳の組成はある程度一定に保たれる仕組みがあります。
赤ちゃんへの直接の影響という点では過度に心配しなくても大丈夫ですが、ママ自身の体のために塩分と糖分を意識することは、授乳中も大切です。
乳腺炎と食事の関係、甘露煮はリスク?
授乳中のママが気にする乳腺炎ですが、現在の医学的な見解では、特定の食事が直接の原因になるという明確な根拠は示されていません。乳腺炎の主な原因は、授乳の仕方・乳腺の詰まり・細菌感染とされています。
甘辛い甘露煮が乳腺炎を引き起こすという根拠はありません。少量であれば、心配して我慢しなくてもよい食べ物です。
授乳中にフナの甘露煮を楽しむための工夫
カルシウムを含む甘露煮を上手に取り入れるために、量と食べ合わせのコツを覚えておきましょう。
食べる量のめやすと注意ポイント
授乳中にフナの甘露煮を食べる場合は、1回あたり2〜3切れがめやすです。骨まで食べるとカルシウムはとれますが、そのぶん塩分や糖分も増えるため、量は控えめにしましょう。
お正月の行事食として特別な日に少量楽しむ食べ方が、授乳中の体に向いています。毎日の常備菜として使うのは避けてください。
カルシウムを効率よくとるための工夫
フナの甘露煮でとったカルシウムを吸収しやすくするには、ビタミンDとの組み合わせが向いています。フナ自体にもビタミンDが含まれていますが、干し椎茸・まいたけなどのきのこ類を一緒に食べることで吸収を助けられます。
授乳中のカルシウム補給という点では、フナの甘露煮だけでなく、小松菜・チーズ・豆腐なども組み合わせると無理なくとれます。一品に頼りすぎず、食事全体でとることを意識してください。
授乳中の水分補給と塩分対策
授乳中は母乳をつくるために、ふだんより多くの水分が必要です。甘露煮を食べた後は特に意識して、白湯や麦茶を飲みましょう。カリウムを含む野菜(ほうれん草・ブロッコリー・さつまいもなど)を合わせると、ナトリウムの排出を助けられます。
授乳のたびに体の水分は使われます。のどが渇く前にこまめに飲む習慣があると、授乳の続く時期でも水分が不足しにくくなります。塩分の高い食品を食べた日は、授乳の合間に一杯ずつ飲む意識を持ってください。家族が集まるお正月は自分の水分補給が後回しになりがちなので、赤ちゃんのそばに水のグラスを置いておくと続けやすくなります。
まとめ|授乳中のフナの甘露煮はカルシウムをとりつつ量を意識して楽しもう
授乳中のフナの甘露煮は、少量であれば過度に心配する必要はありません。フナは水銀の心配が少なく、厚生労働省の妊婦向けの水銀の注意対象にも含まれていません。骨ごと食べることでカルシウムをとりやすく、たんぱく質・ビタミンB1・DHAなども含まれています。
気をつけたいのは塩分と糖分です。食塩相当量は100gあたり約3.3gと高めで、甘露煮は甘辛い調味料を多く使います。2〜3切れをめやすに、他の食事の塩分を控えめにしながら楽しみましょう。食事と乳腺炎の直接的な因果関係は医学的に明確ではなく、少量であれば乳腺炎を心配して我慢しなくても大丈夫です。
授乳中だからこそカルシウムをとりたい時期です。フナの甘露煮は量を意識すれば、栄養補給と食の楽しみを両立できます。
骨まで食べられる料理は、日本食ならではの知恵です。長い時間をかけて柔らかく煮上げることで、骨の栄養までいただける甘露煮は、カルシウムが不足しがちな産後にも取り入れやすい食べ方です。お正月に少量のフナの甘露煮を楽しみながら、体をいたわってください。
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